元妻に捨てられたけど、最後は家族の元に帰りたい…くも膜下出血で倒れた男性がいま障害者施設に入って思うこと

週刊現代 プロフィール

朝、目覚めた時が一番辛い

現在の容態は良くも悪くも安定している。リハビリは週に1度、30分ほど行われるだけだという。

「体力的な辛さは耐えられるから、もっときつくリハビリをしてほしいとお願いしていますが、実現していません。

夜中に睡眠導入剤をもらって寝ていますが、眠りは浅く、早朝には起きてしまう。目覚めた時が一番辛いです。夢の中で、自分が歩いている夢を見ているのに、現実に引き戻されてしまうから。

母から顛末を聞いたせいでしょう。元妻に捨てられて、故郷に移るため秋田新幹線に乗る……という夢を何度も見ます。娘がホームで『パパ行かないで!』と、走りだした電車を追いかける夢です」

こう話すと、川越さんは落涙した。二人の娘が結婚する時、バージンロードを一緒に歩くことができるなら、どんなことでもしたい。

 

「再発への恐怖もあります。時折、トイレで力みすぎたりすると頭が痛くなることがあって、その時はぞっとします。

死んだほうが楽だと思ったこともある。でも、娘のためにも心を強く持たないといけない、と自分に言い聞かせています。やっぱり、最後は家族のもとに帰って一緒に暮らしたい……」

社会の第一線で肩で風切り、バリバリ働いていた。スクープを飛ばし、遊びの味も存分に堪能した。それがほんの一瞬で、どん底までたたき落とされた。そんな残酷な運命が待っていないと言い切れる人が、どれほどいるだろうか。

今、たった一人で奮闘する川越さんに奇跡が訪れることを祈りたい。

「週刊現代」2022年11月12日号より

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