かいしさんは日本育ちの中国人。ペルーに留学し、ドミニカ共和国での駐在生活を経て、北京で生活。その様子を漫画にしたインスタグラム@kaixi_j)が人気を集め、フォロワーは7.1万人。そんなかいしさんは、昨年美大受験に挑戦し現在は日本に住む「美大生」としての顔も持つ。FRaUwebでの連載『かいしさんの日々』で、美大生になるまでの壮絶だった美大受験の準備期間について振り返っていただく短期連載。

社会人生活を経て、改めて美大受験をしようと決意した理由を綴った1回目に続く2回目、ウェブで美大の過去問を見ようとクリックしたかいしさんが「地獄を見た」という理由とは……?

前後編お届けする第2回・前編です。

目の前が真っ暗になった美大の過去問

軽い気持ちで、どうせ行くなら、多摩美か武蔵美が良い!と思いながら入試サイトを開いた私。美大の入試試験はいろんな方式があり、幅広く多種多様な人材を増やすために近年は新しい入試方式が増え続けているのだけれども、一番メジャーな方式としては、センター試験+実技試験がある。そして、美大で一番難しいのは、まさにその「実技試験」なのである。

大学や学科によって違うが、デッサンは必ずと言っていいほど、乗り越えなければならない壁である(他にも立体造形や色彩構成などがある)。当時私はグラフィックデザインしか知らなかったので、多摩美術大学の最難関と言われるグラフィックデザイン学科の過去問が載っているリンクをクリックした。

 

その約0.5秒後、私は間違いなく地獄を見たーーそこにあったのは、高校三年生が描いたと思えないくらい完成度の高いデッサン、そして何よりも一番恐ろしかったのは、それらがすべて「想定デッサン」……つまり、構造やモチーフが実際には存在せず、すべてを想像で描いていたことである!!(一応、鏡が配布されるらしいのだが、参考にできるのは自分の顔や手くらいだ)

サント・ドミンゴの街角の小さなカフェで(編集部注:当時かいしさんはドミニカ共和国で駐在員をしていた)そのリンクをクリックしてしまった私の目の前は真っ暗になり、残酷すぎる現実を見た思いになった。こ、このレベルは私が十年描き続けたとしても恐らく到底達することができない……(補足:後に知ったことですが、そんなこと無いそうです! 高校三年生からデッサンを学び始めても現役で受かる人はたくさんいるそうです。しかし、大体みんな予備校で毎日描いて、やっと受験のレベルに達します)。

美大..、無理ゲーだ...!!! 今から始めても、もう遅かったんだ...私はそっと新しい検索ページを開き、東京に拠点を置いているデザインの専門学校を一通りリサーチした。