国民的女優・泉ピン子さんの連載第5回目。人生相談や時節を感じさせるテーマなどをピン子さん流のユーモアを交えながら、ざっくばらんに語っていただきます。「人生、いい日もあれば悪い日もある」とピン子さん。豊富な経験に裏打ちされた人生トークに心の底から共感すること必至です。今回のテーマは「独立する人たちを見て思うこと」。

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事務所を独立した50歳のとき、借金問題で訴えられる!

今回は、私の事務所独立トラブルの話をします。もう25年も前のことになるから、FRaU読者でご存知の方はほとんどいないでしょうね。ちょうど私が50歳のときでした。独立した事務所から、なんと「独立するなら、今までの借金を返済しろ」と訴えられてしまったんです。元事務所が提示してきた借金の総額は数億円。今思い出しても腹が立つから、正確な金額は言わないでおくけど(笑)。とにかく、「そんなお金、払えるわけない!」と思うような額でした。

撮影/田上浩一

16歳のとき、漫談家としてデビューしたときは、芸能界のことなんて右も左もわからなかったし、自然に、浪曲師だった父が所属していた事務所にお世話になることにしたんです。私がテレビに出て売れ出したら、父は事務所の専務として、事務所を仕切るようになりました。大好きな父が亡くなったとき、私はまだ34歳で、移籍とか独立なんて考えてもみなかった。当時はものすごく忙しくて、マネージャーと付き人が8人ぐらい。事務所で稼いでいたのは私しかいなかったから、その人たちの生活も全部私が面倒見ていたことになるわけ。

ドラマやCMのギャラがいくらか知らなかったし、必要なときに「お金ちょうだい」といえばくれた。クレジットカードで買い物した分は、事務所が払ってくれていたし、事務所の社長とは親子同然の関係だったから、信用していたんです。何か書類を見せられて、「サインして」と言われれば、内容も確認しないままサインしてた。バカだったねぇ。今考えれば、あれは銀行ローンとか、そういうものだったと思う。若い頃から芸能の仕事しかしてないから、ATMもお金はおろせても、振込なんかはやる必要もないから、どうしたらいいのか全然わからない。そのくらい世間知らずだったんです。