2022.11.16
林真理子が「私、権力側のオバさんになってる」「保守化している」と気づいたときにヒシヒシと思ったこと
野心を持つことの大切さを説き、46万部の大ヒットとなった林真理子『野心のすすめ』(講談社現代新書)。
このたび、それ以来9年半ぶりの新書となる『成熟スイッチ』(同)が発売され、大注目を浴びている。
ここでは本書から、林さんの「王道とセンス」「保守化」についての考え方をご紹介しよう。
「王道を行くか、センスで生きるか」
「令和の元号を決める会の人になった頃から、ハヤシさんのフェーズ(位相)が変わった。あっち側の人になってしまった気がする」
と、ある編集者は言います。2019年に「元号に関する懇談会」のメンバーに、京都大学iPS細胞研究所所長(現在、名誉所長・教授)の山中伸弥先生たちと一緒に任命された時のことです。自分では、大河ドラマ『西郷どん』の原作者となって紫綬褒章を受章した2018年が私の「変わり目」ではないか、とも思うのですが、いずれにしても、
「なんだか私、すっかり権力側のオバさんに見えるだろうな」
とはっきりと自覚したのはその頃です。
はるか昔、結婚した1990年前後には、私の「保守化」についてさんざん言われていました。
「林真理子って、すっかりつまらなくなったよね」
「体制に擦り寄るようになった」
当時はそうした声を多少なりとも気にしたものですが、今振り返ると、仕方ないことだったと思います。人は誰だって、ある種の権威を得ると、それと引き換えに「面白くなくなった」「あっち側に行った」などと必ず言われてしまうのです。