2022年10月27日に発表された『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』(文部科学省)によると、小中学生の不登校児童生徒数は前年度から48,813人(24.9%)増の244,940人で過去最多となった。過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数及びその割合は増加、全体の不登校児童生徒数は9年連続で増加し、 “過去最多”という分析結果も出ている。
一方で「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」(通称:不登校生の出席扱い制度)においては前年度から8,915人(439%)増の11,541人で、こちらも過去最多となり「学校」の在り方が変化してきていることが読み取れる。
今回、『不登校でも学べる』(集英社刊)を上梓した教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、「不登校」という言葉をなくすためにできることを、元文部科学事務次官の前川喜平氏と熱論。現在の学校制度の問題点は何か? フリースクールやホームスクーリングへの経済的支援は可能か? FRaUwebにて、全4回にわたって短期集中連載する。第2回目『前川喜平×おおたとしまさ 不登校の選択肢“ホームスクーリング”を阻む「学校信仰」』に続き、第3回目はどんどん分厚くなっていくという「学習指導要領」について。教育内容のみならず教育方法まで書かれている理由として、“学習指導要領で日本の教育が変えられる”と考える文部官僚の存在があるといいます。子どもたちの選択肢を増やすためにできることは何か、前川氏とおおた氏が考察します。
公立校も、フリースクールに近づける
おおた:一条校で不登校を経験した子どもたちが、フリースクールや不登校特例校では生き生きとしている事例を、拙著『不登校でも学べる』ではたくさん紹介しています。一条校の環境を、フリースクールや不登校特例校に近づけていくことはできないんでしょうか?
前川:おおたさんの本にも出てくる、広島のスペシャルサポートルームってありますよね。学校の中のフリースクールと。あるいは西郷孝彦さんという校長がいた世田谷区立の桜丘中学校の事例も参考になりますね。あそこなんかも、もう教室入らなくていいよと。もう学校の中、どこでも居場所にしていいよと。校長室も開放するとかね、廊下にも居場所つくるとかね。教室には入らないんだけど、廊下で一生懸命勉強している子がいたりね。
おおた:そうですね。
前川:どこにいてもいいよと言われたら、不登校になるのは難しいと思うんです。
おおた:(笑)
前川:だから、そういう学校って、言わば校長の腹一つでやろうと思えばできちゃう。公立学校でもね。
おおた:できるんですね、制度的には。