プロ野球選手から貧乏YouTuberに…「戦力外通告」を受けた男たちの「後半生」

その日は突然訪れる。これからどうすればいいのか。どうすれば活躍できたのか。後悔は募るばかり…。元横浜の古木克明、元阪神の仲田幸司の後反省について記した前編『菓子パンで空腹をしのぎ、自暴自棄に…プロ野球で「戦力外通告」を受けた男たちの「後半生」』から続く。

「死亡説」まで流れ始めた

世間で「仲田死亡説」が流れる中、自暴自棄に陥っていた仲田幸司を救ったのは一本の電話だった。

現在、彼が勤務する建設会社の社長から「俺の会社で働いてみないか」と誘われたのだ。社長自身も阪神OBで、新人時代から仲田は顔見知りだった。こうして'10年から工事現場で働くようになる。

最初は仕事の段取りが悪く、「野球しか知らんのか」「落ちぶれたな」と作業員にため息をつかれた。だが、真面目に働き続けるうちに、周囲から信頼されるようになる。3年前から正社員として勤務しており、今は現場監督を任されている。

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「離婚してから会っていない娘たちに、いつか『今は立ち直って働いているよ』と伝えるために頑張っています。実は、戦力外通告を受けたときに小学生だった長女から『パパが投げている姿を見たい』と言われたことがありました。娘の願いを叶えてあげられなかった後悔が未だにあるんです。マウンドは降りたけれど、日々戦っている姿を見せたい。この気持ちが今の僕を支えています」

 

仲田と同じように、野球とは違う道に進んだのが大場翔太(37歳)だ。

'07年のドラフト会議で巨人や阪神など6球団から1位指名を受け、ソフトバンクに入団。プロ初登板初先発で無四球完封勝利を飾り、将来のエース候補として期待されるも、それ以降は結果を残せず、金銭トレードで中日に移籍。'16年に戦力外通告を受けた。

「肩と肘を壊してしまい、ずっと満足のいくボールが投げられる状態ではありませんでした。戦力外通告は覚悟していました」

その後、大場は知人の勧めもあって競輪選手への転身を模索する。

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