2022.11.17
# 細胞 # 遺伝子

鳥は動物界の数学チャンピオン! カラスもハトも猿と同じくらいかぞえる

魚は数をかぞえられるか(7)
すべての生きものは数をかぞえている。チンパンジーや犬だけじゃない。鳥も魚もネズミもライオンもイルカも数をかぞえ、アリもハチも計算し、セミは素数の周期を把握していた!!
言語をもたない生きものも、食べて繁殖して生存するために、数を認識し、かぞえている。いや、計算すらしているのだ――この大胆な仮説を、認知神経心理学の第一人者にして数的能力の遺伝について研究を続けてきたロンドン大学名誉教授が検証。そんな知的好奇心を駆り立てる1冊『魚は数をかぞえられるか?』から注目の章をピックアップ。

カラスは数をかぞえられるか?

オウムとカラス科の鳥(カラス、ワタリガラス、ニシコクマルガラス)は、チンパンジー以外のどの種よりも数を上手に扱うことがわかっている。動物の数的能力に関する初期の研究で最も優れたものは、実は、鳥に関するものだった。

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ドイツの動物行動学者オットー・ケーラーは、「見本合わせ」という実験方法を考案した。下の図を見てほしい。カラスは、例えばまず3つの点がついた見本(大きいほうのパネル)を見せられる。次にさまざまなサイズの点がついたサブパネルを見せられる。サブパネルの中から見本と同じ数のものを選ぶと、餌がもらえるという仕組みだ。(中略)

実験の結果、特定の「数」の見本を提示すると、カラスたちは最大7までの「数」を合わせることができた。たとえば、ケーラーがニシコクマルガラスにインクでつけた点で見本となる数を提示すると、カラスは同数の点がついた箱の蓋を見つけるよう求められた。カラスが正しい箱を見つけて、蓋を取ると、食べ物の報酬がもらえる。

鳥がインクの総面積や物体の総量といったほかの視覚情報ではなく、数的情報を使っていることを、まず確認することが重要だ。ケーラーは、課題が総面積などに基づいて解けないようにすることで、実に手際よくこの問題に対処した。

課題を間違えるとやり直すカラス

ケーラーはまた、この実験の興味深い別バージョン——連続的に数合わせをする方法——も使った。ニシコクマルガラスは5個の餌(見本と同じ数)を手に入れるまで、箱を1つずつ開けなくてはならなかった。5個の餌は、最初の箱に1個、2番目の箱に2個、3番目の箱に1個、4番目の箱に0個、5番目の箱に1個、と分けて入れられており、箱は合計8つ並んでいた。カラスは餌を集めたあとケージに戻って、課題を終えたことを示さなくてはならない。

ある稀に見る素晴らしい事例では、鳥がケージに戻ったとき、ケーラーは「不正解。1つ足りない」と記録しようとした。すると、ニシコクマルガラスが、箱が並んでいる場所に舞い戻って、驚くようなパフォーマンスを見せた。

「鳥は最初の箱の前で頭を1回下げ、2番目の箱の前で2回下げ、3番目の箱の前で1回下げ、さらにそのまま進んで4番目の蓋を開け(餌はない)、5番目の蓋も開けて、最後の(5つ目の)餌を取った。それを終えると、後ろに並んだ残りの箱には一切触れず、終わったという潔い態度で、巣箱に戻った」

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