2022.11.28
# 宇宙論

138億年の宇宙進化はどう解き明かされたか? 物理学者が駆使する「過去を見る」術の正体

およそ138億年前に誕生したとされるこの宇宙──宇宙物理学者たちはその「はじまり」を、どのように探究してきたのでしょうか。

じつは彼らは、100億年以上前の「過去」を観察し、誕生直後の初期状態から現在にいたるまで、「宇宙の進化」を目撃するすべを心得ているのです。

やがてその眼は「未来」へと向かい、最新理論による「宇宙の終焉」までをも見通しているというのですが……!?

壮大で不可思議な宇宙の姿と、来るべきその終末を全5回に渡ってご紹介します。

※本稿は、『宇宙の終わりに何が起こるのか』(ケイティ・マック著・吉田三知世訳)を一部再編集の上、紹介しています。

宇宙はどこまで見えているのか

宇宙論研究者にとって過去とは、「失われてしまって決して手が届かない領域」などではない。それは実際の場所であり、宇宙の観察可能な領域で、私たちが出勤日のほとんどを過ごすところだ。

私たちは静かにデスクの前に座ったままで、数百万年、あるいは数十億年も昔に起こった天文学的事象の展開を見守ることができる。そしてこのからくりは、宇宙論だけのものではなく、私たちが暮らしている宇宙の構造に本来備わっている性質なのだ。

【写真】光はかつての天文学的事象について教えてくれるphoto by gettyimages

それはつまるところ、「光が進むには時間がかかる」という事実からきている。光速は途方もなく速い──およそ秒速30万キロメートル──が、決して瞬間移動ではない。

日常的な言葉で説明すると、こうなる。

懐中電灯をつけると、そこから出てくる光は、1ナノ秒ごとに約30センチメートル進むが、その光が、あなたが照らしている相手から反射して、あなたの下に戻る際にも、まったく同じように時間がかかる。

実際、あなたが何かを見ているとき、あなたが見る像は、対象物から反射して目に届いた光にすぎないのだが、その光は目に届くころにはすでに少し古くなっている。