多系統萎縮症という難病をご存知だろうか。多くは40歳以降に発症し、進行性の細胞変性脱落を来す疾患で、指定難病とされている。起立歩行時のふらつきや自律神経の生涯という意味ではパーキンソン病にと類似しているが、パーキンソン病よりも進行は早く、発症後平均約5年で車椅子使用、約8年で寝たきり状態となり、罹病期間は9年程度という。治療法も明確に見つかっていない。

高清水美音子さんがそんな難病を告知されたのは、息子についで夫を病気で亡くした直後のことだった。それまで週刊誌の編集や教育関係に強いライターとして活躍してきたが、50代で難病を告知され、一時は夫や息子の後を追うことも考えた高清水さん。しかし昔の日記を見つけて「生きよう」「仕事しよう」と決意し、障害者手帳を取得して障害者雇用に挑戦する。そこで現実を目の当たりにし、衝撃を受けながらも、高清水さんの特長を活かしたライターの職種で出会いがあり、就職が決定した。

しかし、もし病名が覆ったら、その雇用はどうなるのだろうか。
障害者雇用の現実を伝える短期連載の4回目は、就職してから数ヵ月後、主治医から驚きの発言を受けた時のことをお伝えする。

 

え? わたしの病名が?

2022年7月。
障害者雇用で働き始めてから、2回目の通院日がやってきた。

初診日からずっと、2ヵ月に1回ペースで通院してきた。いつものように、呼び出し機械がブーブーと鳴って、診察室に入る。
すると……、主治医の先生が、驚きの内容を言いだした!

主治医の先生が言う。

「高清水さん、今の様子を見ても、症状も出ていませんし……。多系統萎縮症じゃないんじゃないかと思うんですよね

え? 発症5年で車いすではなく? わたしはこの秋で発症から3年くらいですけど、普通はもっと症状出るんですが!?

首をタテに振る先生。

「たぶん、パーキンソン病なんだと思います。次回、もう一度MRIを撮って、その後、画像を僕が見ますから」

病名が、覆る!? 多系統萎縮症ではなく、パーキンソン病?

多系統萎縮症なら、あと2年くらいで、車椅子になるのだと思っていた。だから、あそこの棚は粗大ゴミに出して、ここらへんのものは押入れに入れて、車椅子が入るようにしなきゃ、と、家の中のレイアウト変更も考えていた。車いす状態になってから、1~2年で寝たきりになって、その後1年くらいで、天に召されるのだと。だから、仕事の神が降りてくる前は、うつうつして引きこもっていたのだが。 

ショックで息子と夫の後を追うことも考えた Photo by iStock

「長生きできますよ。よかったですねー」

お医者さんに、よかったですねーなんて言われるのは、初めて。
次の診察日である2ヵ月後にMRIを撮りますと言っているのに、先生のこころはすでに、わたしの病気=パーキンソン病になっているようだ。