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前川喜平×おおたとしまさ 学校の義務教育独占は「戦時体制」の発想…子どもたちに多様な学びの場を
2022.11.22

不登校対談・短期連載④

前川喜平×おおたとしまさ 学校の義務教育独占は「戦時体制」の発想…子どもたちに多様な学びの場を

2022年10月27日に発表された『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』(文部科学省)によると、小中学生の不登校児童生徒数は前年度から48,813人(24.9%)増の244,940人で過去最多となった。過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数及びその割合は増加、全体の不登校児童生徒数は9年連続で増加し、 “過去最多”という分析結果も出ている。

一方で「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」(通称:不登校生の出席扱い制度)においては前年度から8,915人(439%)増の11,541人で、こちらも過去最多となり「学校」の在り方が変化してきていることが読み取れる。

今回、『不登校でも学べる』(集英社刊)を上梓した教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、「不登校」という言葉をなくすためにできることを、元文部科学事務次官の前川喜平氏と熱論。現在の学校制度の問題点は何か? フリースクールやホームスクーリングへの経済的支援は可能か? FRaUwebにて、全4回にわたっておこなわれた短期集中、第3回目『学習指導要領で教育改革? 文部官僚の「思い上がり」』に続く最終回です。

ホームスクールを選んだ家庭を悩ませるもの

おおた:ここでまた、ホームスクール&ホームエデュケーション家族会のアンケート結果を参照したいと思います。ホームスクールのご家庭で、困っていること何ですかと聞いています。1位は圧倒的にこの経済的負担。公立の小学校なり中学校に通っていれば無償で受けられるものを利用できなくなったときに、じゃあそれに代わる学び環境を自前で調達すると、当然ものすごくお金がかかるわけです。

Photo by iStock

しかも不登校になると子どもと一緒にいる時間もどうしても長くなってしまうので、仕事もセーブしなければいけない。ダブルの意味で経済的負担が増します。だからフリースクールや通信教育も普通教育として認めて無償にしようとしたときに、公的にお金を、助成なのか支給なのかする方法は現実的に考えられるのでしょうか。

前川:公立の小中学校に通っていれば、1人頭何十万円というお金を税金から毎年かけてもらえるはずなのに、その恩恵にあずかっていないわけですからね。その公立学校に通っていれば享受できるはずの金銭的な、経済的な支援を別な形で出すというのは当然考えられる話です。例えばさっき(連載第2回掲載)の「個別学習計画」という考え方に立てば、個別学習計画に基づく学習活動をするために必要な経費は公費で賄うという制度をつくる方法はありますよね。上限は年間何十万円と決めて。

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