2022.12.09

林真理子が、50歳、60歳を過ぎても「人生に張り合いを持って生きていられる」本質的な理由〜先達はこんなことを教えてくれた

野心を持つことの大切さを説き、46万部の大ヒットとなった林真理子『野心のすすめ』(講談社現代新書)。

このたび、それ以来9年半ぶりの新書となる『成熟スイッチ』(同)が発売され、大注目を浴びている。

ここでは、著者の林さんが50歳、60歳をすぎても活力を持って生きていける理由について、「先達からの教え」と合わせてご紹介しよう。

60過ぎから自由になる

2000年、私は史上最年少(当時46歳)の直木賞の選考委員(2020年に三浦しをん氏が43歳で就任するまで最年少記録)となりました。最初の選考会では、築地の料亭「新喜楽」で田辺聖子先生や井上ひさし先生と席を並べていることが夢のようで、とても緊張しました。ほとんど喋れなかったことをよく覚えています。

その私がいまや北方謙三さんとともに、最古参の直木賞選考委員になりました。光陰矢の如し。中高年の会社員の方なら、新入社員からあっという間に中堅社員になり、気がつけばベテランと言われるようになっている感覚を身をもってご存知ではないでしょうか。人生で先輩に守ってもらえる若い期間は実はとても短い。先輩のありがたみを本当に理解するのは、彼らがいなくなってしまってからなのかもしれません。

私は幸運にも大好きな先生たちからかわいがってもらったので、あちこちでご一緒する機会に恵まれました。何気ない言葉やふるまいから教わることも多かったです。

初めて田辺聖子先生の伊丹市のご自宅に伺った時には、

「女手一つでこういう家を建てられるのよ。頑張りなさい」

と言ってもらいました。その時に「こんな素敵な家をいつか建てたいな」と思って、実際に建てました。先生のおうちとは似ても似つかない小さな家ですけど……。