ポーランドへのロシア製ミサイル着弾と各国の対応が「停戦交渉開始間近」と考えられるワケ

11月15日、ウクライナ国境から約7キロ離れた、ポーランド東部プシェボドフにロシア製ミサイルが着弾した。米国など北大西洋条約機構(NATO)関係国は、ウクライナ軍の迎撃用ミサイルが誤って落ちたと主張。ウクライナは「ロシアによる攻撃だ」と言い張り、NATO側を困惑させている。なぜ、ウクライナは強硬な姿勢を続けているのか。今年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が停戦に至る可能性はあるのか。

ウクライナは「ミサイルの航跡図」を米国に提示

ウクライナのゼレンスキー大統領はミサイル着弾直後、ビデオ演説で「NATO領土へのミサイル攻撃は、集団安全保障に対するロシアの攻撃だ」と主張。ロイター通信によれば、ウクライナ国家安全保障・国防会議のオレクシー・ダニロフ書記は16日、ウクライナは「ロシアの痕跡」を示す証拠を持っていると述べた。ゼレンスキー氏も、極めて信頼できるウクライナ軍からの報告に基づいて、ロシアのミサイルによる爆発だと結論づけたと主張していた。ウクライナは18日、ミサイル着弾現場に専門家を派遣し、調査を始めた。

2022年11月17日、ミサイルが落ちたポーランド、プシェボドフで、デュダ大統領の到着を待つ地元警察(写真:Artur Widak/Anadolu Agency via Getty Images)
 

ウクライナ情勢に詳しい関係筋によれば、ゼレンスキー氏が語った「極めて信頼できるウクライナ軍からの報告」とは、ロシア軍が発射した巡航ミサイルの航跡情報だという。ウクライナ側は、ミサイルはロシア上空を飛行していたTU95(ツポレフ95)戦略爆撃機から発射されたと主張し、具体的な航跡図も米国らに提示している模様だ。

しかし、NATOのストルテンベルグ事務総長は16日、「ウクライナ側の迎撃ミサイルの可能性が高い」と説明し、米国やミサイルが着弾したポーランドを始めとするNATO諸国もこの見解を支持した。ゼレンスキー氏は改めて「ウクライナのミサイルではない」としていたが、17日には「ウクライナが迎撃ミサイルを発射したことも確かだ。何が起きたかはわからない」と述べ、主張をやや後退させた。

ウクライナの情報戦?

ウクライナが提示した情報が正しいとは限らない。どういうことか。たとえば米CNNは16日、ポーランドに着弾したミサイルについて、ポーランド上空を飛行していたNATO航空機が追跡していたと報道した。

また、ウクライナメディアは今年4月、ロシアのショイグ国防相が3月に中朝両国を訪れ、軍事支援を要請したと報道したことがある。複数の情報関係筋はこの報道は事実ではないと説明していたが、日本など世界各地に駐在するウクライナ武官たちは積極的に「ショイグの中朝訪問は事実だ」と、駐在国の政府関係者や各国武官団に触れ回っていた。関係筋の1人は「ウクライナも必死なので、情報戦を数多く仕掛けている。ポーランドの件も、8割はウクライナによる情報戦だとみて良いのではないか」と話す。

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