近隣の銀河が太陽系に突進してくる! 膨張宇宙が収縮に転じる「ビッグクランチ」の恐怖

ハッブルの大発見!

1929年、天文学者のエドウィン・ハッブルは、銀河の赤方偏移を調べていて、驚くべきパターンを発見した。しかもそのパターンは、じつに単純で便利だったのだ。

より遠方にある銀河は、平均して、より大きく赤方偏移していた。この関係を使って、宇宙の膨張が確認できるようになったほか、宇宙の進化のプロセスも解明できるようになった。

ハッブルは、赤方偏移を速度に換算することによってあるパターンを見出したが、それは、ある銀河がより遠方にあるほど、それだけ速く、その銀河は遠ざかっていることを示していた。

バネの玩具「スリンキー」を両手で伸ばすところを想像してみてほしい(いまは科学の説明のためにやっているので、伸ばすだけで伸縮はさせない)。

両手をどんどん離していくにつれ、スリンキーのひと巻き分は、隣接するひと巻き分から1センチメートルぐらいずつ離れるだけだが、両端の2つの輪は、それと同じ時間のうちに0.5〜1メートルぐらい離れるだろう。

【写真】スリンキーphoto by gettyimages

もしも空間があらゆる方向に均一に膨張しているなら、これと同じような関係が成り立っているはずだ。そして、ハッブルが観測によって発見したのは、まさにそれだった。

国際天文学連合の決定

これは、数学を使った手法として、使いやすい単純な経験則を提供してくれる。「ある銀河の見かけ上の速度は、その銀河までの距離に正比例する」という経験則だ。

これが意味することは2つある。第1に、より遠方にあるものほど速く遠ざかっているということ。そして第2に、銀河の距離にその数を掛け合わせると、その速度が得られるような、1つの数が存在するということだ。

この関係を最終的に証明し、その数の推定値を提供したのはハッブルのデータだったが、この比例関係そのものは、じつのところ、数年前にベルギーの天文学者であり、かつ司祭でもあったジョルジュ・ルメートルが理論的に導き出していた。

そのためこの関係は、「ハッブル-ルメートルの法則」と呼ばれている(天文学者のコミュニティーではしばしば「ハッブルの法則」と呼ばれているが、国際天文学連合は2018年、ルメートルの名前を名称に含めることによって彼の貢献を公式に評価することを投票で決定した。私も理論家の1人として、それに賛同する)。

そして、その比例定数は「ハッブル定数」と呼ばれている。

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