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発達障害のわが子は中高一貫校でやっていけるのか? 中学受験のお悩みに回答!
2022.11.23

令和の中学受験2 (8)

発達障害のわが子は中高一貫校でやっていけるのか? 中学受験のお悩みに回答!

発達障害を持つ生徒へのフォロー体制

実践女子学園(東京都渋谷区/女子校)で中学校教頭を務める財前雅代先生はこう言います。

「協働作業をするときに明らかに向いていない子については、個々に対応しています。保護者の方とも細かく相談しつつ、『学校側ができること』『学校側ができないこと』ははっきり伝えるようにしています。スクールカウンセラーや養護教員のバックアップ体制も整えています。とはいえ、高校生になると場に慣れて落ち着いてくる子が多いですね」

森村学園(神奈川県横浜市/共学校)の教頭・小澤宗夫先生も「線引き」が大切と口にします。

「できれば入学手続きをして実際に入学してくる前に、わが子の特性が気になる保護者から連絡がほしいと思っています。小学校のときに学校側がこういう対応をして上手くいった、反対に上手くいかなかったなど、そんな情報共有をしてくださるとありがたいですね。入学後はわたしたちもいろいろとトライ&エラーを繰り返しながら、どこまでが学校側ができることなのか、どこからが保護者や医療機関にお願いするところなのか、という境界線を引いたほうが、互いにやりやすいのではないかと考えています」

発達障害の生徒は「普通の存在」である、と言い切る先生がいます。聖光学院(神奈川県横浜市/男子校)の中学入試委員長・國嶋応輔先生です。

「発達障害と言われるような子はたくさんいます。ですから、学内でも『普通』の存在であり、浮くようなことはありません。その子たちそれぞれの特性に合わせて対応していますしね。なんなら、教員にも発達障害の人間が何人もいます。ASDに対して、『何かしなければならない』ということではなく、さらに先の理解をわたしたちはしています。決して発達障害を持つ子たちを特別扱いしません。もちろん、片付けができない、人に挨拶ができない……、そういう子に対して苦手なことを強制するあまり、彼らが持つ特性を潰したくはないと考えています」

浅野(神奈川県横浜市/男子校)の入試広報部長・徳山直先生は心配していた子が中高生活の中でぐんぐんと成長していったという成功例を教えてくれました。

「たとえば、対人での緊張による疾患があり、返事をすることすら難しい子がいました。わたしたちは授業内にあまり多くの質問を投げかけないように注意を払うなどしていました。けれども、その彼は周囲の仲間と徐々に馴染んでいきました。仲間たちから部活動に誘われて、それに打ち込む中で、本当に学校生活を心から楽しめるようになったのです」

発達障害を持っているので入試に不利になるなんてこともないようです。

ただし、入試のときにカンニングと判断されてしまうようなふるまいは無視できないと某校の先生は話します。

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矢野 耕平

1973年、東京生まれ。中学受験指導スタジオキャンパス代表、国語専科・博耕房代表取締役。大手進学塾で13年間勤務の後、2007年にスタジオキャンパスを設立し、代表に。自らも塾講師として、これまで27年にわたり中学受験指導を行っている。主な著書に『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(文芸新書)、『旧名門校VS.新名門校』(SB新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)がある。

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