障害のある犬を散歩させるのは「可哀そう」?

動物行動学の専門家 高倉はるか先生は、この15年間に2頭の飼い犬を看取った。
悪性の腫瘍が発見されたフラットコーテッドレトリーバーのバディは、転移のリスクを抑えるため足を1本切断した。そのため3本足になったが、1カ月だった余命はのびて、自力で散歩もできるようになった。
だが、3本足のバディを散歩させていると、通りがかりの人たちから「3本足なんて可哀そう」「ムリに歩かせて可哀そう」と言われたという。

犬の病気をどこまで治療すべきかは、前編「5歳で悪性腫瘍が…動物行動学の専門家が愛犬の「足切断」を即決した理由」にてお伝えした。一方で治療や介護の必要になった犬は、時に治療に体の一部を失ったり、障害が出ることもある。そんな犬を連れ歩くことは、「可哀そう」なことなのだろうか。
散歩中にそう声をかけられたはるか先生は、いったいどう答えたのだろう。

 

散歩は犬の大きな楽しみ

「私は老犬になって痴呆が出たり、バディのように足を手術で切断したとしても、犬が望む限りは散歩に連れて行きたいと思っています
傍から見ると、よぼよぼで歩くのもつらそうに見えるかもしれませんが、犬にとって外に出ることは大きな楽しみです。家の中だけでは変化がなく、刺激がありません。存分に走り回れない犬にとってなら、なおさらのこと。犬のQOL(Quality of life)をあげる散歩は、ぜひお勧めしたいです。
もちろんもともと散歩があまり好きじゃない子や、犬の体調があまり良くない時に、ムリに連れ出すことありませんが、犬が望むなら外に連れて行ってあげてほしいと思います。

15歳のミニチュアダックス、アイのために、カートを用意して毎朝散歩する飼い主。アイは施設のセラピー犬だったが、7年前飼い主の退職時にリタイアすることになり引き取ったという。