2022.11.22

京大院卒男性が就活Webテストの「替え玉受験」で逮捕…就活生たちが「不正」に走ってしまう根本的な理由

以前から大学生や就活生の間で囁かれていた就活Webテストの「替え玉受験」。ついに逮捕者まで出したこの問題について、2021年に当サイトで「数学間違い探し」を連載した桜美林大学の芳沢光雄教授が緊急寄稿。

就活Webテスト替え玉事件の根源にある深刻な問題

就職活動をする学生らを対象とする「就活Webテスト」を本人に成り済まして受験したとして、11月22日までに京都大学大学院出身の大企業の社員が警視庁サイバー犯罪対策課に逮捕された。本稿では、この逮捕劇の根源には、小学校の算数からの学び方に、「理解」を無視した「暗記」だけの教育と学びが横行していることがある、と訴えたいのである。

そもそも暗記だけの学びでは、時間が経つと何もかも忘れてしまうので、とくに入試で数学を受験しなかった私立大学文系学部の学生さんには、大学入試の数学問題よりはるかに易しいWebテストの(数学や論理の)非言語系問題がさっぱり解けなくなってしまう現象が現れてしまう。それが、悪いと思っても替え玉受験に走らせてしまう根源であることを説明したい。

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筆者は2007年に、東京理科大学理学部から桜美林大学リベラルアーツ学群に本務校を移して現在に至るが、勤めて数年後に大学の就職委員長を補職としてお引き受けした。その頃はまだ学生の就職難が続いているときで、キャリアセンターの事務方トップの方から「人間性豊かな本学学生は、Webテストの非言語系問題をクリアすることが採用される鍵です」と相談を持ち掛けられた。

一方で、ネット上では「替え玉受験を請け負います」という有名大学理系学部学生の学生証コピー(名前の部分は黒塗り)を添付した書き込みが当時から散見され、「有名私立大学の文系学生の替え玉受験を行った」という他大学理系学部の学生の話を数多く耳にした。そして立場上、本学の一部学生から「世間では替え玉受験もたくさんあるようですが」という疑問の声もいただいた。

そのような背景を踏まえて、「不正行為はダメ」と、通り一遍に答えるだけでは数学・数学教育の世界で生きてきた人間として納得できるものではなかった。さらに、90年代後半から数多くの小中高校への出前授業を行ってきた根本には、日本の「数学嫌い」の問題を解決したいという気持ちがあった。そこで、ただちに就活の非言語系問題の過去問題を徹底的に調べたのである。

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