20年前、時代を先取る存在だった
10月3日、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)と三井住友フィナンシャルグループは、TポイントとVポイントが2024年をめどに統合すると発表した。
Vポイントは三井住友カードを利用すると貯まるポイントだが、このニュースが新聞・TVやネットで報じられた際、多くの消費者の反応は「Vポイントって何?」だったのではないか。

一方、Tポイントはいわゆる共通ポイントの草分けで知名度は抜群だ。筆者はTポイントがサービスを開始した2003年の記者発表の会場で感じた高揚感を昨日のことのように憶えている。
当時、Tポイントの幹部は、イギリスの航空会社ブリティッシュ・エアウェイズのマイレージサービスを高く評価するとともに、「いま欧州では『共通ポイント』というものが盛んに利用されている。Tポイントはそれに倣った。今後ポイントサービスの主流になる」と意気込みを語っていた。
共通ポイントは業界・業種を問わず、提携している店舗であれば、どこで買い物をしてもポイントを貯めることのできるサービスのことで、Tポイントは日本で初めての共通ポイントだった。
CCCはレンタルビデオ店のTSUTAYAや蔦屋書店を展開しているが、TSUTAYAでビデオを借りる人の多くがTポイントの会員となり、大ブームになった。以来、いろいろな店のレジで「Tポイントはお持ちですか」と店員に聞かれるようになったはずだ。
また、消費者もそれまで以上にポイントというものを意識するようになった。Tポイントが私たちの消費生活を確実に変えた、時代を先取りする新しいサービスだったのは間違いない。
現在、Tポイントの会員数は7000万人を超え、加盟店の数は15万店以上に達する。それがなぜ実績と知名度ではるかに劣るVポイントと統合することになったのか。