サッカーW杯ドイツ代表“歴史的敗北”のウラにある「キャプテンの腕章」問題

政治問題を選手に負わせるのは酷では

ドイツ代表キャプテンの腕章

23日のドイツのトップニュースは、サッカーW杯の対日戦に敗れたことだった。まさか日本に負けるとは誰も思っていなかったらしく、ドイツ人は言葉を失っている。

次の対戦相手は日曜日のスペインで、これに負けると予選落ちだが、そのスペインは、やはり23日、コスタリカを7対0で打ち負かしているから、ドイツチームはすでに壁際まで追い詰められている。

Gettyimages

彼らは試合前、フィールド上での公式の撮影で、全員が自分たちの手で口を塞いで写真に収まった。カタールの人権侵害への抗議で、「我々の声を潰すことはできない」という意味だそうだが、私の目には「わかりました。何も言いません」というふうに見えた。

では、なぜ、ドイツチームがこんなことをしたか?

実はドイツではその数日前より、肝心のサッカーよりも、キャプテンの腕章問題で大騒ぎになっていた。

サッカーの試合では、キャプテンは腕章を付けるが、ドイツ、イングランド、ウェールズ、オランダ、ベルギー、スイスなどが、夏頃、その腕章を、カタールでのLGBTQや人権侵害への抗議のシンボルにしようと思いついた(ドイツの間で大問題となっているカタールの人権侵害については、先週詳しく書いたので参照されたい)。

 

そうして作成された腕章は、「ONE」と「LOVE」の文字の間に、6色の縞模様のハートが入っているデザインで、色は、アフリカ連合のシンボルカラーである赤、黒、緑と、いわば同性愛のシンボルカラーとなっているピンク、黄色、青。

そして、ハートの真ん中には「1」という数字が入っている。どんな形であっても愛は一つという意味だ。ドイツのキャプテン、マヌエル・ノイアーはこれを付けて対日戦に臨むはずだった。

ただ、いうまでもなくカタールはイスラムの国で、愛は一つではない。同性愛は犯罪で、極刑になる可能性もある。だからこそドイツ人はこの腕章で、それに対して抗議しようとしたわけだ。

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