智也さんは静かに恵美さんの話を聞き、こう答えました。
「自分ほど漫画好きでないことは最初から分かってたよ。ただそれでもある程度は漫画を好きだとおもっていたから、僕の漫画好きを理解してくれていると思っていた。だから結婚もしたし、迷惑をかけないように家事や育児もがんばったつもりだったのに…。漫画は絶対やめたくないし、これ以上僕はどうすればいいの? なんで僕と結婚したの…?」

この喧嘩を機に2人の間には大きな溝ができてしまいました。
そして本心を言ったからこそ、その後恵子さんはふっきれて、露骨に態度に表すようになったそうです。
一方で、智也さんのほうは今まで通り漫画を読むことを続け、いつしか彼が何をやっても、恵美さんは悪態をつくようになりました。
それから1年後、二人は離婚してしまいました。最終的に恵美さんは育児さえ放棄気味になってしまい、長女は智也さんが引き取ったそうです。なんとも残念な結末になってしまいました…。
本音を隠すにも程度がある
恵美さんは、漫画が好きではないのに漫画好きを装いました。また、誰かとの外出を好むのに、漫画は室内で、一人で楽しむのが一般的な趣味です。たとえば恵美さんが漫画好きではなくても、似た感じの読書好きだったり、あるいは一人でいることを好んだりするような性格なら、また話は違ったかもしれません。