防衛省が次期戦闘機に求めるコンセプトは、(1)量に勝る敵に対する高度ネットワーク戦闘、(2)優れたステルス性、(3)敵機の捜索・探知に不可欠な高度なセンシング技術、の3点を併せ持つ機体とすること。
資料には「このような戦い方を可能とする戦闘機は存在しない」と異なる字体で大きく書かれ、防衛省が本気で「令和のゼロ戦」の開発を目指していることがわかる。


「高度ネットワーク戦闘」は、大容量高速ネットワークを駆使して敵の情報を味方同士で共有する。特徴的なのは無人機と連携することだ。
無人機は戦闘機のパイロットが操作して複数の機体を同時に飛ばし、戦闘機と無人機の編隊を構成する。無人機から得られた情報を戦闘機が統合して活用する。有人機と無人機がワンチームとなることから「チーミング」と呼ばれ、人的資源が節約できる一方で対処力は強化される。
すでに中国やロシアは戦闘機と連携する無人機の開発を進めている。数的に有利な中ロでさえ導入する技術を戦闘機数で劣る自衛隊が導入するのは必然といえる。
英国のテンペストもステルス性や無人機との連携を想定しており、日英の方向性は一致した。

「米国切り」が決まった事情
一方、米国との関係では防衛省が2020年12月、ロッキード・マーチンを「支援企業」に指定した。防衛省の資料には「機体担当企業(三菱重工業)の下請け」とあり、「機体担当企業および防衛省が必要と判断した業務のみに従事」と明記され、関与できる範囲を制限している。
ここからは「可能な限り、米国企業を排除したい」という防衛省の思惑がうかがえる。それには理由がある。
1980年代に開発したF2戦闘機は当初、「独自開発による国産」を目指したものの、米政府の圧力から米国製のF16戦闘機を母体に日米で共同開発することになった。