赤字続きだったTwitter
〈鳥は放たれた〉
10月28日、マスク氏はツイッターの買収が完了したことを発表し、こう投稿した。そして怒濤のリストラを実施し、残された社員にも「長時間猛烈に働くか、会社を辞めるか」の選択を迫った。
なぜこんな暴挙に出たのか。それは、ツイッターが巨額の赤字を抱えていたからだ。
実はツイッターは、創業から'18年まで常に赤字だった。売上高の9割は広告収入で、膨らむ設備投資や人件費を賄いきれず'20年に再び赤字に転落。'21年の売上高は51億ドル(7140億円)で2.2億ドル(308億円)の赤字だった。
「経営の足を引っ張っていたのは、肥大化した福利厚生費や人件費でした。そこでマスク氏は、好待遇に群がるばかりで利益を出さない『コバンザメ』のような従業員をクビにしたのです」(国際投資アナリスト・大原浩氏)
ツイッター上のニュースから、利用者の興味がありそうなものを選ぶ。ツイッター上の投稿を監視し、規約に違反するアカウントを排除する。これらは解雇された社員の多くが担っていた仕事だ。
しかし自由に情報を投稿するSNSで、こうした仕事が必要なのか? マスク氏の答えは「NO」だった。その考えを象徴するかのように、トランプ前大統領をはじめ、停止状態だったアカウントを次々に凍結解除した。冒頭のメリッサ氏は憤る。
「私の仕事は政治関連の投稿をチェックすることでした。マスク氏は、ツイッターの治安がどれだけ重要か分かっていない。それどころか、私たちが凍結していたトランプを復活させるなんて……」