せっかちな性格にも変化が……!?
「私はもともとあまり強く怒らないタイプなんです。子育て中も娘にキレて怒ったのは一度だけでした。あれは娘が中学生の頃だったでしょうか。『学校に行きたくない』と言い出したんです。どうして行きたくないの? と理由を聞いても、めんどくさいというばかり。いじめや困っていることがあるというのではなく、これは単に甘えているだけだな、と感じました。いつまでもウダウダと愚痴っている娘に腹が立って、制服とカバンを当時住んでいたマンションのゴミ置き場に持っていきました。娘が起きると制服とカバンがなくなっていて、どこにあるの!と大騒ぎ。『学校行かないんでしょ、いらないから捨てたよ』というと、娘は血相を変えて慌ててゴミ置き場に制服とカバンを取りに行きました。
普段怒らないお母さんが怒るとこんなにも怖いんだ……、と娘は思ったようです。それからは、不平不満を言わずに楽しく学校に通ってくれるように。よほど身に染みたのかもしれません(笑)」
後にも先にもここまで怒ったのはこれっきりだったと藤さん。ここぞっというときにビシッと怒る。それでも、ゴミ回収で本当に捨てられないように、娘さんが起きるちょっと前に制服とカバンをゴミ置き場に持って行っているところが藤さんの母親としてのやさしさだったなのかもしれません。
「私が娘にした怒り方が正解だったのかはわかりません。でも、怒ったり、叱ったりするのって本当に難しいですよね。だから、仕事でもプライベートでもできるだけ平常心、気持ちを穏やかにと思っています。
性格的にはせっかちなのがウィークポイントです。怒りはコントロールできるんですが、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、と思うと朝からバタバタせわしなく動いてしまう。そんなとき、マルオレちゃんが、いたずらとかしていると叱っているわけではないんですが、『ちょっと待って!』『アブないよー!』と少し大きな声を出してしまったことも……。

でも、どんなに声を出してもやるときはやるんですよね(笑)。猫とはそういう生き物です。だったらそれに抵抗しても仕方ない。マルオレちゃんと暮らすと決めたのは私なのだから、彼らの流儀にも合わせなくてはいけないと思いました。もちろん、危険なことをしそうなときには、声を出して諭しますが、それ以外は極力受け止めることにしました。そう認めてしまったら、壁によじ登ってついたひっかき傷も不思議とアートに見えてきました(笑)」
壁のひっかき傷!? 毎年夏にマルオレちゃん恒例となっているセミポーズで登る壁は、実は無数の傷があるといいます。

「写真だから見えないだけなんですよ。我が家は彼らに占拠されています(笑)。でも、認めちゃうと、もうあとはご自由にどうぞ、という気持ちになります。もともときれい好きなので、部屋が散らかるのは苦手だったのですが、そういう部分もかなり寛容になりましたね。これもマルオレパワーでしょうか(笑)」
