そして菅だけが生き残る
麻生の8つ歳下で、12月6日に74歳を迎える菅は、余裕の構えである。
〈麻生はどのみち、もうすぐ時間切れだが、俺には時間がまだまだある〉
東北から出てきた菅は金持ちボンボンの安倍や麻生、岸田とは本質的にソリが合わない。だがやはり、その3人の中では安倍の政局観が突出していた、とも思う。安倍は生前「岸田政権は早晩行き詰まる。その時は自分がもう一度、本格的に表舞台に立つことになる」とほのめかしていた。
――安倍さん、アンタの言う通りになりそうだよ。ただ一つ違ったのは、令和の永田町で生き残るのは俺だけってことだな。
岸田政権が音を立てて崩れてゆく中で、菅はひとり、無言で笑みを浮かべている。まもなく始まる「勝者総取り」のシナリオを、頭の中で練りながら。(文中敬称略)
「週刊現代」2022年12月3日号より