「治った」と思っても…
アルアリー博士の研究が、なぜ医療関係者の間で議論を巻き起こし、一部からは「誤りではないか」とまで言われているのか。それは冒頭でも触れた通り、一般的には「コロナに一度感染すれば免疫ができるため、再感染しても症状は軽くて済む」というのがこれまでの常識だったからだ。
一方、博士はこの「常識破りの結果」に自信を抱いているという。
「おそらく、私たちの研究は再感染の健康リスクを分析した世界で初めての研究です。退役軍人省の医療データベースは、アメリカで最大の全国統合医療システムであり、分析には高度で厳密な統計手法を使っていますから、信頼に足る結果が得られたと考えています」
さらに詳しく研究内容を見ていこう。具体的には、どんな病気のリスクが高まるのだろうか。
まず、再感染によって最もリスクが上昇したのが「肺疾患」と「腎臓疾患」だという。再感染した人は1回感染した人に比べ、前者のリスクが3.54倍、後者のリスクが3.55倍と、まさしく激増しているのだ。
コロナが重症になると肺炎を引き起こし、呼吸機能に深刻な悪影響を与えることはよく知られているが、とりわけ高齢者が繰り返し感染すると、そのたびに肺にダメージが蓄積してゆく。