肺にダメージが蓄積する
前出の二木氏が言う。
「若い患者であれば、たとえ肺炎を起こしても、治癒すればその痕はほとんどわからなくなります。ところが高齢者には、『やや重症』という程度の肺炎でも顕著な傷痕が残り、肺機能が大きく低下してしまうことがあるのです。
肺そのものは痛みを感じるわけではないので、コロナの症状が引くと『治った』と思ってしまうのですが、実際には肺が細かな組織レベルでダメージを負っていて、2回目・3回目と感染するたびにそれが蓄積し、より重症になってゆく可能性があります。
また、一度コロナに感染して肺の感染防御機能が低下した状態では、ウイルスそのものに感染しやすくなるおそれもあると言えるでしょう」
コロナが腎臓に与える悪影響や後遺症についても、感染拡大の当初から指摘はされてきたものの、再感染でどの程度悪化するかについては、アルアリー博士らの研究で初めてデータが示された。
折しも大阪大学が今年6月に発表した研究によれば、特に「高齢者・肥満の人・男性」では、コロナに感染すると血糖値を下げるインスリンを分泌する働きが妨げられ、糖尿病などの合併症にかかりやすくなることが明らかになっている。腎臓も肺と同様、痛みなどの自覚症状が現れづらい臓器のため、ダメージが蓄積しても気付きにくいと言えそうだ。
コロナへの「再感染」が健康にもたらす悪影響は、まだまだこれだけではない。後編【コロナで「脳が縮み、20年老化」の危険…後遺症の「不都合な真実」がわかってきた】で、さらに驚きの研究結果を深掘りしていく。
「週刊現代」2022年12月3日号より