コロナで「脳が縮み、20年老化」の危険…後遺症の「不都合な真実」がわかってきた

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やはり「風邪」ではない

さまざまな研究を総合すると、コロナが脳に悪影響を与えることは、少なくとも「気のせい」などではないことは間違いない。ましてこれから再感染者が続出するようなことになれば「ブレイン・フォグ」を訴える人は、これまで以上に増えるだろう。

アルアリー博士らの研究は、アメリカ退役軍人省の持つデータ、つまり中高年の白人男性を主なサンプルとしているから、日本人でもまったく同じことが起きるとまでは言い切れない。ただ人種を問わず、高齢になるほど重症化リスクが高いのは明らかなのだから、日本人も再感染を警戒するに越したことはない。

「高齢の人ほど感染やワクチン接種で免疫が得られにくく、また得た免疫が失われるのも早い、つまり免疫を維持しにくい傾向があります。基礎疾患がある人も高齢になるほど増えますから、日本人も今回の研究データをひとつの教訓として、第8波に備えるべきでしょう」(前出・二木氏)

 

欧米と異なり、日本ではコロナの後遺症や「目に見えない影響」に関する研究や知見はまだそれほど多くない。まして再感染については、事例がこれまで少なかったこともあり、まったく無防備だと言わざるを得ない。

長らく続いたコロナ禍への疲れもあって、世間での感染対策は緩みつつあるが、残念ながらパンデミックはまだ続きそうだ。アルアリー博士らの調査が明らかにした「コロナは風邪ではない」という「不都合な真実」を肝に銘じて、この冬も引き続き警戒を怠らないようにしたい。

「週刊現代」2022年12月3日号より 

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