コロナ禍でも過去最高の受験率となった2022年度の首都圏中学入試。首都圏に限らず、今や小学生のいる多くの家庭では「中学受験」「中高一貫校」の話題と無縁ではいられなくなっている。
東京大学を卒業後、大手塾で人気講師となった後にプロ家庭教師としても予約殺到、SNSでも「ジュクコ」として人気の長谷川智也氏が上梓し、大反響の『中学受験 自走モードにするために親ができること』(講談社)。これに続く新刊『自考モードにする中高6年間の過ごし方』(講談社)では、「中学受験、その先」の有効な過ごし方など、すべての小学生・中高生家庭が知っておいてほしい内容を凝縮して紹介している。
今回は本書より数回に分け一部抜粋、加筆改訂して紹介する。第1回は「中高一貫校の優位性」について。受験にチャレンジするか悩んでいる家庭、中高一貫校生であってもいまいちそのメリットが活かされているか不安な家庭、さらには中高一貫校を選ばなかった高校受験組も大いに役立つ内容だ。
中高一貫校生は「超有利」な日本のシステム
今の日本の教育システムの中では、中学受験を経て中高一貫校に入学した「中高一貫校生」のほうが、「高校受験組」に比べて、中高6年間で学力を伸ばすには「超有利」という現実があります。
なぜ「超」がつくほど有利なのでしょうか?

・理由(1)効率・バランスが良いカリキュラム設定
その理由はまず、学力を伸ばすのに中高一貫校のカリキュラムのほうが効率が良いという点が挙げられます。
プロの僕から見て、現在国が指定する「中学課程」はあまりにゆるくて、優秀な子だと1年で終わってしまうような内容になっています。
ゆとり教育は反省とともに終わっていますが、例えば、数学の「解の公式」、理科の「電気分解」などが高校課程に残ったままです(発展学習として教科書に一応は載っていたりもしますが)。中学でやれば良いものを、高校に入ってから結局詰め込みで勉強することになっている分野が多く、極めて6年間のバランスが悪いのです。
その点、中高一貫校では全課程を高校2年までに済ませ、高校3年の1年間をまるまる演習に当てていけます。事実、今、多くの中高一貫校で高校募集をする学校が減っているのは、学校としても 「6年間のカリキュラムのほうが効率が良い」 ことに気づいているからです。