偏差値35から東大へ…中学で“人生詰んだ”、リアル『ドラゴン桜』西岡壱誠を変えた「衝撃の一言」
シリーズ累計40万部を突破した『東大思考』の著者である西岡壱誠さんは、大ベストセラー入りした今でこそ注目を浴びるようになったが、じつは、学生時代の偏差値は35の落ちこぼれだった。
赤点どころか進学もままならない成績、スポーツも不得意で、クラスメイトからは「いじっていい奴」のレッテルを貼られ弄ばれる日々。いつしか「これが自分の人生」と夢も希望も諦めていた。
そんな西岡氏が、かつての担任教師である渋谷先生にすすめられ、一発逆転を図った東大受験。当初は無謀なチャレンジと半信半疑のまま始めたが、徐々に自分に革変の意識が芽生えていく。
当時は同級生からいじられ、弄ばれていたという西岡さんは当時の状況を振り返りこう言う。
「いじめられっ子だったんですけど、まあ、いじめられるだけの理由があるやつだったなぁ、と思います。暗いし、うじうじしているし、コミュ障だし、そうかと思えば変なところで目立ちたがったりして墓穴掘るし、性格悪いし。
極め付けに、自分に原因があるのにもかかわらず、自分のせいだと認められない人間だったな、と。
でも、当時はそんなことに気づけないから、ずっと見返してやりたいと思ってました。東大に入って、『こんなに自分は変わったんだ!』って」
起死回生、一発逆転の東大合格をかち取るまでの「リアル・ドラゴン桜」を、ほぼリアルに近い小説『それでも僕は東大に合格したかった』から辿る。
「お前はなにがしたい?」師匠からの問いに応えられず、窮地の末に思わず出た「自分には何もない」という本音に、渋谷先生はある決意を固める。
「本当にそのままでいいのか?」
「あれは、本音だったな」
師匠は言った。
「ああいうのは普通、本心で言うものじゃない。本当はそう思ってないけれど、否定してもらいたくて言ったり、気を引きたくて言ったりするものだ」
「まあ、そうでしょうね」
「でも、お前のあれは、本心だったな」
そうだ。本気でそう思っていたことを、師匠にぶつけただけだったのだ。僕は本気で、自分は変われないと思っていたし、自分には何もできないと思っていたのだ。
「お前のあれは掛け値なしの本音で本心だった。だから俺も本気でぶつかることにしたんだ」
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「それでいいのか? お前、本当にそのままでいいのか?」
僕の言葉を全部聞き終わって、師匠は、そんな風に訊いたのだ。

「『変われないと思う』というのはわかった。『自分には何もない』というのもわかった。でも、まだ一つ聞いてないことがある。お前は、このままでいいと思っているのか?」
どんなに年月が経っても、この質問だけは、多分、ずっと覚えているのだと思う。
「お前、本当にそのままでいいのか?」
そんなの、答えは決まっている。決まっているけれど、そんなの不可能なのだ。僕にはできない。それを、これまでの人生で嫌というほど味わってきたのだ。