2023.01.01

偏差値35から東大へ…中学で“人生詰んだ”、リアル『ドラゴン桜』西岡壱誠を変えた「衝撃の一言」

シリーズ累計40万部を突破した『東大思考』の著者である西岡壱誠さんは、大ベストセラー入りした今でこそ注目を浴びるようになったが、じつは、学生時代の偏差値は35の落ちこぼれだった。

赤点どころか進学もままならない成績、スポーツも不得意で、クラスメイトからは「いじっていい奴」のレッテルを貼られ弄ばれる日々。いつしか「これが自分の人生」と夢も希望も諦めていた。

そんな西岡氏が、かつての担任教師である渋谷先生にすすめられ、一発逆転を図った東大受験。当初は無謀なチャレンジと半信半疑のまま始めたが、徐々に自分に革変の意識が芽生えていく。

当時は同級生からいじられ、弄ばれていたという西岡さんは当時の状況を振り返りこう言う。

「いじめられっ子だったんですけど、まあ、いじめられるだけの理由があるやつだったなぁ、と思います。暗いし、うじうじしているし、コミュ障だし、そうかと思えば変なところで目立ちたがったりして墓穴掘るし、性格悪いし。

極め付けに、自分に原因があるのにもかかわらず、自分のせいだと認められない人間だったな、と。

でも、当時はそんなことに気づけないから、ずっと見返してやりたいと思ってました。東大に入って、『こんなに自分は変わったんだ!』って」

起死回生、一発逆転の東大合格をかち取るまでの「リアル・ドラゴン桜」を、ほぼリアルに近い小説『それでも僕は東大に合格したかった』から辿る。

東大の合格発表までのぽっかり空いた時間を使い、中学時代の担任である「師匠」に会いにいった西岡さん。中学時代を振り返り、いじめられ、血だらけで運ばれた病院に付き添った師匠に「自分は死んだように生きていく」と宣言した西岡さんに、なにも言わずじっと見つめる師匠の姿があった。その詳細は<【前回記事】偏差値35から東大へ…いじめられ「血だらけ」で運ばれた、リアル『ドラゴン桜』西岡壱誠、中学時代の「どん底」の日々>でお伝えした。

「お前はなにがしたい?」師匠からの問いに応えられず、窮地の末に思わず出た「自分には何もない」という本音に、渋谷先生はある決意を固める。

「本当にそのままでいいのか?」

「あれは、本音だったな」

師匠は言った。

「ああいうのは普通、本心で言うものじゃない。本当はそう思ってないけれど、否定してもらいたくて言ったり、気を引きたくて言ったりするものだ」

「まあ、そうでしょうね」

「でも、お前のあれは、本心だったな」

そうだ。本気でそう思っていたことを、師匠にぶつけただけだったのだ。僕は本気で、自分は変われないと思っていたし、自分には何もできないと思っていたのだ。

「お前のあれは掛け値なしの本音で本心だった。だから俺も本気でぶつかることにしたんだ」

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「それでいいのか? お前、本当にそのままでいいのか?」

僕の言葉を全部聞き終わって、師匠は、そんな風に訊いたのだ。

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「『変われないと思う』というのはわかった。『自分には何もない』というのもわかった。でも、まだ一つ聞いてないことがある。お前は、このままでいいと思っているのか?」

どんなに年月が経っても、この質問だけは、多分、ずっと覚えているのだと思う。

「お前、本当にそのままでいいのか?」

そんなの、答えは決まっている。決まっているけれど、そんなの不可能なのだ。僕にはできない。それを、これまでの人生で嫌というほど味わってきたのだ。

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