昨年8月、グローバルビジネス誌『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれた長谷川ミラさん。モデル、ラジオナビゲーター、ブランド経営者、さらにはZ世代のオピニオンリーダーとして社会問題について積極的に意見を発信するなど、その活動は実に多岐に渡る。世代間の働く価値観が大きく変わってきていると言われる今、ミラさんにとって働くこととはどういう意味を持つのか。また、どうしたら全ての世代が、そして全ての立場の人たちが働きやすい社会になるのか。ミラさんと一緒に考えてみた。

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「Z世代・長谷川ミラが同世代と働いて知ったZ世代の『頑張らない働き方』」

 

日本は“稼ぐこと”をモチベーションにしにくい

――ミラさん自身の働く価値観についていろいろとお話いただいてきましたが、次は「何のために働くのか?」ということを伺えればと思います。昨今は、仕事はほどほどでプライベートを充実させたい、という考え方も耳にする中で、ミラさんも昨年、音声メディア『Tokyo Young Boss』で「Z世代のモンスター社員」について書かれた記事を取り上げていました。

この記事の中で産業カウンセラーの石川弘子氏が仕事で嫌なことがあるとすぐ辞めてしまったり、なにかにつけ「パワハラだ、モラハラだ」という若い人もなかにはいる、と書いていました。厚生労働省による調査では3年以内の離職率がこの10年でそんなに増えているわけではありませんが、働くことに不満を持つというのはどの世代でもあること。ミラさんはZ世代の「仕事への不満」にどのような考えをお持ちですか。

「真相報道 バンキシャ!」(日本テレビ)出演時のミラさん。長谷川ミラさんインスタグラム(@jenmilaa)より

ミラ すごく客観的な視点から言うと、本当にZ世代のそういう不満が増加しているとしたら、今の日本って働くモチベーションが持ちにくいのかな、と思ったりしていて……。それがいろんな原因があるうちの1つなのかも?と感じています。

というのも、ロンドンに留学して感じたんですけど、日本って基本的に全てが低価格・高クオリティなんですよ。洋服は安くて品質もデザインもいいファストファッションブランドがいっぱいあるし、安くて美味しいカフェやレストランだっていっぱい。

例えばロンドン、NY、LAだったら日本のカフェのように1000円程度でドリンク付きの美味しいランチなんて食べれません。ほかにもコンビニの100円おにぎりのようなものはもちろんありませんし、ペットボトルの水も下手したら700円くらいかかってしまう……。そういった場所に行くと、ひしひしと、「あー海外と比べて日本って、本当に安い金額で美味しいものが食べられるんだなぁ」と気付かされますし、物価の高騰や低賃金の問題はあれど、たくさんのお金がなくてもある程度の生活はできる場所なんだな、と私は感じてしまうんです。

やはり、「そこそこお金があれば、ある程度の幸せは味わえる」という感覚が得られるのは大きい気がします。

――たしかにそういう感覚を持っていたら、仕事で嫌なことがあった時に「今は耐えて頑張ろう」と思えなかったり、それこそすぐ転職を考える人もいるかもしれませんね。今、賃金は全然上がらないのに物価がどんどん高騰していて問題になっていますが、これがさらに働き口もなかなか見つけらず、転職もしづらい状況になっていったら、モンスター社員はあっという間にいなくなるのかもしれない……。

 

ミラ 私の妹が今イギリスにいるのでよく話をするのですが、これがイギリスだと、職が少なくて、高学歴の人でも就職が大変だったりするんですよ。同時に、イギリスはEUを離脱したから経済がもっと悪化して物価高が劇的に進むと言われています。つまり働かないと生きていけないし、簡単に辞めてもいられない。働くモチベーションの次元が違いますよね。

――働けるのは本当にありがたいことなんですね……。

ミラ 以前、ホリエモンさんが「働けなくなるって怖くない?」とおっしゃっていて、ホントに!と思ったのを覚えています。