満席のLCCに乗って帰国

祖母の訃報を聞いたのは日曜日。

その晩の飛行機と次の日の新幹線のチケットを一人分取った。夫と子供達には事情を説明した。ママは今日の夜出かけて、水曜日の学校が終わる時間に帰るからね。パパの言うことを聞いて、明日から3日間、学校に頑張って行くんだよ。

パパも子供達に毎朝、リンゴとバナナとお菓子を持たせてね。水筒も忘れずに。他の必要事項はLINEするね。長女はひいばあちゃんの訃報に涙が溢れて私に抱きついてきた。二人でしばらく泣いた。

祖母の訃報を聞き飛び乗った機内から、きれいな朝焼けが見えて思わず写真を撮りました。写真/著者提供
 

道中は悲しみの一方で、なんとか辿り着かなくては、という緊張感もあった。地元の岩手に成田から最短でたどり着くには、成田から京成線で上野駅を目指し、そこで乗り換える。初めての上野での乗り換えはうまく行くだろうか。母たちはどんな表情で過ごしているだろうか。空港での検疫は今は何分くらいかかるのだろう。岩手の寒さはどれくらいなのだろう。手持ちの防寒着で耐えられるかな。そんなことをあれこれ考えながら、知らない人と肩を寄せ合う満席のLCCのエコノミーで少し仮眠を取った。

盛岡駅から祖母の眠る葬儀場までタクシーで移動した。真っ黒な服に身を包み、ボストンバッグを持って駅から飛び乗ってきた私に、タクシーの運転手さんも事情を察したのか言葉少なだった。