人生には限りがある

お通夜が終わり、私は帰路についた。岩手にいられたのはわずか1泊だけだけど、とてもゆったりとした時間の流れを感じていた。

おしゃれが好きな祖母と買い物をした時のこと、祖母が南部鉄瓶で入れてくれたお茶を飲んでいろんなお話を聞いたりするのが好きだったこと。祖母と過ごしていた幼い頃の自分を思い出していた。別れが寂しいと言う実感よりは温かい気持ちで過ごして岩手を離れた。

 

シンガポールに帰る飛行機で、機内食のインドカレーを食べているときに、不意に涙が溢れて止まらなくなった。肩をピッタリ寄せ合ってる満席の飛行機で隣の人に気付かれないように、カレーの辛さのふりをして誤魔化した。

ばあちゃん、ばあちゃん、さようなら。

大人になって、できることが増えてきた。私には可愛い子供が二人もいる。手にするものが増えて行く一方、こうして見送って手放すことも必然なのだ。人生には限りがある。これからの私が生きるばあちゃんのいない世界、どんな風に生きていったらいいのだろうか。そんなことを考えている。