2022.12.05

突然「働いてくれ」と言われ、家出をした45歳専業主婦が3歳上の姉から言われた「厳しい言葉」

山中 伸枝 プロフィール

恵子様との年金生活はできるだけ余裕をもちたいというのが川口さんのご希望ですが、老齢基礎年金を75歳まで繰下げるとそれまでの年金収入が160万円となります。「私は75歳まで家族のために働きます」とおっしゃいますが、病気をしたりして働けなくなると計画が崩れてしまうリスクがあります。

万が一ご主人が先に亡くなると、恵子さんはご自身の年金と遺族厚生年金併せて170万円ほどで暮らすことになります。現在契約中の終身での生命保険は300万円ですから、恐らく保険金を恵子さんの生活資金として見込むのも難しいでしょう。住宅ローンの返済はないとはいえ、少し心元ない金額かもしれません。

PHOTO by iStock
 

川口家のその後

面談の2ヶ月後に、筆者は思いがけず恵子さんからメールを受取りました。ご主人にいきなり「働いてくれ」と言われ、ショックを受けた恵子さんはプチ家出を決行していました。3日間ほど実家に帰り、ご両親や実姉と会いいろいろ考えたそうです。

特に3歳違いのお姉さんからは、「甘い!これまで何不自由なく暮らしてこられたことに感謝こそすれ、批判するなんてもってのほか!」と一喝されたそうです。

お姉さんはお金には苦労されてきたようで、しっかり者。これまでも、「あなたは優しい旦那さんをつかまえてうらやましい」と何度も言われてきたそうです。とはいえ、今回はじっくりと恵子さんの話を聞いてくれたうえでの厳しい一言だったようです。

恵子さんはお姉さんから今時の会社員事情を聞かされたそうです。役職定年で年収が下がるのはなにもその人が失敗したからとか、仕事ができないからではなく、会社の仕組みなのだということ。年齢で区切られるのは理不尽だけれど、それはしょうがない。実際は年収だけでなく、役職がなくなった後も同じ職場で同じ責任を負いながら仕事をする人も多く、やる気を失ったり、やりにくさを感じながらも懸命に仕事をしているんだということ。60歳以降も然りで、ただただ毎日会社に行って、お金をもらってきているのではなく、毎日大変な思いをしながら、1円でも多く家族に給与を持って帰ろうと頑張っているのだ、と言って聞かせたそうです。

恵子さんのお勤め経験は、20代の頃のほんの数年ですから、あまり苦労もせず楽しいOL時代を過ごしたのかもしれません。しかし女性が働くことが決して簡単ではない頃からずっと働いてきたお姉さんから会社員の厳しい現状を聞かされ目が覚めた気がしたそうです。

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