『室内と家具の歴史』(小泉和子、中公文庫)によれば、日本ベッド工業会の調査で、1970年代以降にベッドは急速に普及した。二段ベッドや分割ベッド、ソファベッドのピークは1971、1972年頃。その後は普通ベッドが増えているので、この頃を境に「ベッドの用途が変わり、それまでのような部屋の狭さの解決策ではなくなってきて、空間的にも専用寝室化」されたと指摘している。

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二段ベッドは省スペースになるうえ、布団の収納場所を必要としないので、管理がラクだったことも人気の要因だろう。思い返せば、1968年生まれの私の家でも、周りの家でも二段ベッドは導入されていた。そして、二段ベッドでベッドに寝る習慣をつけた現在の50~60代が、結婚後にダブルベッドを買うなどしたこともベッドが一般的になっていった要因の一つと考えられる。

旅先で泊まる部屋も、食事の時間に制約がある旅館より自由度が高いホテルが求められるようになり、ホテルでベッドに慣れた人も増えたと思われる。そういえばホテルも和室を用意しているところが昔は多かったように思うが、最近次々と増えるビジネスホテルは、洋室だけのところが多いのではないか。

つまり、ベッドで寝る習慣がついた人たちが、和室を不要と考えるようになり、和室を備えた部屋も減っていったと考えられる。ベッドの寝室が便利なのは、二段ベッドの場合と同様、寝具の収納場所を必要としないことに加え、布団の上げ下ろしをしなくて済むことだ。ただし、布団を上げてしまえば空間が広くなる和室より、ベッドの下の隙間に掃除機を入れる洋室の掃除は手間がかかる。

 

もう畳の暮らしには戻れない?

布団派の私が気がかりなのは、ベッドはマットレスを干しづらいこと。寝ているときは大量に汗をかくが、マットレスだと干して乾かすことが面倒そうだ。だからこそ、マットレスに消臭剤をかけて除菌しようと呼びかけるCMが流されるのだろう。ダニが発生することもある。こちらは干して乾燥させる以外に、敷布団でもベッド用のマットレスでも、掃除機をかけることが一番いい対策と言われている。