“にわか”には厳しすぎる時間帯
まず“にわか”サポーターの定義をあげるとしたら、「4年に1度のワールドカップのみに興味関心があり、勝敗に大きく一喜一憂する」こと。さらに、「日本代表が敗退したら大会どころか競技からも心が離れ、4年後までほぼ放置状態になる」こと。
誤解のないように書いておくと、ここで“にわか”サポーターを揶揄したいわけではなく、むしろ必要な存在だと感じている。それは中盤以降に書いた本田圭佑のツイートに関する文章でわかってもらえるだろう。
そんな“にわか”をめぐる現状で真っ先にあげられるのは、キックオフ時間の変化によってフェードアウトした人々の存在。実際、スペイン代表戦は日本時間早朝4時のキックオフであり、“にわか”の盛り上がりにも影響があったはずだ。つまり、「平日の早朝だから見るのやめようかな」「勝ったけど大さわぎする時間帯ではないよね」などの抑制が働いたのではないか。
ただ、すでにグループリーグ最終戦がはじまった11月29日夜から、それまであった19時と22時のキックオフが消滅し、深夜24時と早朝4時のみに集約。カタールとの時差は日本からマイナス6時間だけに仕方がないのだが、これがラウンド16から決勝戦までの全日程で続いていく。サッカーフリークですら「しんどい」とこぼす時間帯だけに、“にわか”がリアルタイムで見て盛り上がる機会は減るだろう。
日本代表が決勝トーナメント進出した現在でも“にわか”の関心は、そのほとんどが日本代表の試合のみ。試合が深夜帯に行われる以上、「準々決勝以降で対戦するチームの試合をチェックする」という可能性すら低いのではないか。
そもそも「“にわか”が急増した」と言われているのは、2002年のサッカーワールドカップと2019年のラグビーワールドカップの2大会。自国開催だったこの2大会は、日本代表が敗退したあとも他国代表の試合を見て楽しむ“にわか”もいたが、お祭りムードを感じづらく時差もある他国開催で彼らを引き留めることは難しい。
しかも今大会は決勝トーナメントの全試合を地上波で放送するわけではなく、ラウンド16の3試合、準々決勝の2試合がテレビでは見られずABEMAでの配信のみ。“にわか”にとってはそんなハードルの高さが、「わざわざ見るほどではないかな」という判断につながっていく。