今後“にわか”は厳しい環境下に
ただ、“にわか”をめぐる背景としては、進化どころか厳しい環境に向かいつつある。
最大の理由は、このところ日本代表の試合が配信中心にシフトしていること。実際、アジア最終予選のアウェー戦はDAZNの独占中継であり、本大会も地上波放送は64試合中41試合に留まり、ABEMAだけが全試合を配信している。
ABEMAでの配信は、試合をマルチアングルで楽しめる上に、スタッツ表示などの付加価値がある一方で、ネット環境や会費などで見る人を選ぶ感は否めない。DAZNは今年値上げされたばかりであり、ABEMAは「今後も無料か」と言えば疑問が残る。

ネット上のエンタメコンテンツが増える一方の中、選ばれなければいけないし、人々のコスパ意識がシビアになる中、お金がかかるものほど、マスではなくコア向けになっていく。“にわか”にとっては、「ますますワールドカップくらいのビッグイベントでなければ見づらいものになっていく」という可能性は決して低くない。
また、次回2026年のワールドカップから出場枠が32から48に拡大され、アジアも4.5から8.5に大幅増。アジア予選のハードルがグッと下がり、現在以上に「出て当たり前」のムードが漂い、より本番だけを楽しむ“にわか”サポーターが増えやすい状況になりそうだ。
そんな“にわか”をめぐる厳しい状況を打破していく上での特効薬は、やはり日本代表が強くなることだろう。自国代表の優勝を夢見られる人が増えるほど、“にわか”ではなく本物のサポーターが増えていく。しかし、それが極めて難しいからこそ、「まず“にわか”側が強くなることで日本代表を強くしていけるどうか」、正念場を迎えているのかもしれない。