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「畑に炭を入れる農業を当たり前に」温室効果ガス削減をめざす農場の取り組み
2022.12.05

環境負荷を抑えた農業をどう実現していくか

「畑に炭を入れる農業を当たり前に」温室効果ガス削減をめざす農場の取り組み

炭を畑に撒くことのメリットは、温室効果ガスの削減だけに留まらない。炭に空いた無数の孔は微生物の住処となり、土壌の生物相を豊かにして、作物の生育を助ける。また、細かい孔に成分が付着して流れ出るのを防ぐので、少ない堆肥や肥料で野菜を育てられる。

増えすぎた竹によって荒廃した里山や竹林を整え、かつ豊かな農作地を育てる、多くの利点があるバイオ炭。これが世界中の農園に広まれば、2050年までにCO2の排出量を0・8ギガトン削減できる可能性があるとも言われている。数少ない有効な手段のひとつなのだ。

利根川近くの国道沿いで刈られた草を積んで作られた堆肥。草が発酵して体積が10分の1ほどになると、草に混じっていたプラスチックごみが姿を現す。我々がこれまで大量に使用してきた使い捨てプラスチックに依存しない包装をするのも大切な取り組みのひとつ。

バイオ炭のほかにも、取り組みは様々だ。化学肥料を使わない代わりに、地元で刈った草を使った堆肥を使用する。また、冬場のビニールハウスでは、苗を育てるための電熱線を使わず、木のチップの発酵熱を活用している。寒い季節に人気の焼き芋や茹でタケノコも、使うのは薪ストーブの火。野菜販売用のトラックやトラクターの燃料は、近隣の店に野菜を納品する際に回収した廃油を、業者に頼んでバイオディーゼルにしてもらう。また年内には、ソーラーシェアリングを始める準備も整った。

一部ビニールのシートで土を覆ったり、農薬の代わりにネットで対策をしているところも。これらを使わないようにしていくなど今後の課題も多い、と丹上さん。

「ごく一部ですが、畑を覆うビニールシートを使用していたり、堆肥の原料として集めてきた草にプラスチックが混じっていたり、完璧でない部分もたくさんあります。そんな堆肥を使うなんてという人もいますが、散々プラスチックに依存した暮らしをしてきた我々の心配より、次世代のための安心安全を考えなければならない。そのために、今後のリスクを考えて、自分の野菜に関しては、プラスチックに依存しない包装に替えています。その方がプラスチック資材にお金を払うよりいいし、地元にも環元できると思うので」

葉野菜は米袋を開いた紙で包み、その他は新聞紙を折って作った袋に入れる。これらのリユース資源を使った包装は、地元の社会福祉法人や障害者施設などで折ってもらい、その分のお金を支払っている。徹底して、地域資源が循環する農業の仕組みを考えている。

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