気象予報士であり、防災士の資格も持つ斉田季実治さん。報道記者時代には数々の自然災害の現場にも立ち会いました。今、伝えたい、命を守るために大切なこととは?
斉田季実治(さいた・きみはる)
1975年生まれ。テレビ局の報道記者を経て、気象の専門家の道へ。2006年からNHKで気象キャスターを務め、現在は「ニューウオッチ9」、「明日をまもるナビ」などに出演。著書に『空を見上げてわかること』(PHP研究所)など。
報道記者時代に体験した災害現場
気象情報を生かすには、どうしたら?
NHKで平日夜9時から放送中の「ニュースウオッチ9」で気象キャスターを務める斉田季実治さん。気象や防災にまつわる講演を行うなど、気象情報を正しく伝える活動に加えて、一人ひとりが知識を深め、自ら行動できる社会づくりに力を注いでいる。
「幼い頃から空を見るのが好きでした。父は転勤が多く、小学校の頃は3回転校を経験。一番長く住んだのは熊本県でしたが、住む所によって雨の降り方が違ったり、季節ごとの現象にも差異があったりして、なんだか面白いぞと。高校時代には自転車で台風の目を追いかけたりしていましたね。危険なので、どうか真似しないでくださいね(笑)」

北海道大学に進学した背景にも、住んだことのない土地の天気への興味があった。が、選んだ学部が水産学部というから、面白い。
「大学のパンフレットを見ていたら、水産学部では船に乗れるとあって。座学よりフィールドワークのほうが楽しそうだし、自分に合っているかなと思って。実際、函館から横浜まで行く2週間航海という実習があって、すごく面白かったですね。深海の水を採取したり、イカを釣って、船の上で食べたりして」
長い航海の途中で身にしみて感じたのが、天気の重要性だった。
「私はあまり船酔いしない体質だったのですが、ひとたび海が荒れると続々とダウンする人が出たり、風や波の状態によって様々な影響が出ることを知りました。陸上にいるよりずっと天気の変化に敏感になって、気象予報というのはすごく大切だなと思ったんです」