2022.12.06
江戸時代の「遊女」たちの「床上手」ぶり…その描かれ方はこんなにスゴかった…!
かけひき、手紙、やさしさ…コロナ禍が激しかった2020年、一部の性風俗産業に従事する人には補助金が支払われなかったことが大きな話題を呼んだ。
セックスワークをどう捉えるかは、その社会にとって、つねにきわめて重要な問題である。
ところで、現代のセックスワークの問題をじっくりと考えるのにあたって参考になるのが、「遊廓」の事情だ。
日本にとって「遊廓」とはなんだったのか。
それを知るのに最適なのが、江戸時代の遊廓の実態をつぶさに描いた『遊廓と日本人』(田中優子著、講談社現代新書)である。
遊女が置かれた厳しい環境、一方でそこから生まれた絢爛な文化など、日本史の陰影の一端をご覧いただこう。
「床上手」の意味
「床上手」ということも遊女の大事な要素でした。ここでは、井原西鶴『好色一代男』と『諸艶大鑑(好色二代男)』に登場する遊女を何人か見てみましょう。
野秋という遊女については、「一緒に床に入らなければわからないところがある」と書いています。肌がうるわしく暖かく、その最中は鼻息高く、髪が乱れてもかまわないくらい夢中になるので、枕がいつの間にかはずれてしまうほどで、目は青みがかり、脇の下は汗ばみ、腰が畳を離れて宙に浮き、足の指はかがみ、それが決してわざとらしくない、と。
もうひとつは、たびたび声をあげながら、男が達しようとするところを九度も押さえつけ、どんな精力強靱な男でも乱れに乱れてしまうところだ、と。さらに、その後で灯をともして見るその美しさ。別れる時に「さらばや」と言うその落ち着いたやさしい声。これが遊女の「床上手」の意味でした。