認知症の普段の問題を面接で伝えられるのか

そして認知症での普段の問題となる症状を、面接という短時間に、本人が発揮できるかというと、物忘れ以外はなかなか難しいと思う。普段家族が困っている症状を、ずばりその場で調査員の方が見ることはあまりできないのではないか。もちろん身体的な介護が必要な方も、いろいろ現状へのご意見はあると思うが、とりあえず私が感じているのは、認知症の父の認定調査を受けている体験からの意見なので、そこはお許し願いたい。

まず、要介護認定をうけるための、認定調査とはどういうものかというと、介護保険の適用を申請する時、あるいは現在の認定されている期間が切れる時や区分変更したい時に発生するもので、市区町村の役所の関連部署が、主治医に意見書を求めることと、並行して、そこから派遣された調査員が、調査を受ける本人の家を訪問し、本人と家族に面接して話を聞く。基本はこの2本立てだが、もう少し意見を聞きたい場合に、ケアマネさんなどに意見を求めることもあるという。その訪問調査の結果が機械判定されて出た1次判定に、特記事項と医師の意見書をもとに介護認定審査会が審議し、決定した結果が通知されるシステムだ。

Photo by iStock
 

高齢化で身体的な機能低下も増えた認知症の父

令和1年に要介護3となった父の現況を簡単に書きたい。今年87歳、アルツハイマーとピック病がまじった状況といわれ、以前専門医に見てもらった時はその割合が3割と7割ぐらいといわれたが、ここ数年でアルツハイマーの症状も進み、5割5割ぐらいになってきた感がある。ピック病(前頭側頭型認知症の一つ)とは、近年ようやく認知されてきた病気で、人格や情緒の障害、異常行動をとる、人のいうことを聞かない、怒りっぽくなる、まれに痴漢や万引きなどのような行動をとるなど、一般的な認知症とは少し違う症状がいろいろある病気だ。