2022.12.09
# 企業 # 社会

園児をたたく、ご飯を口に突っ込む…保育園で虐待・暴力が繰り返される「構造的問題」

空前の保育士不足が招く深刻すぎる事態

保育園で虐待が繰り返される理由

静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で、園児に虐待を繰り返した30代の保育士3人が12月4日に暴行の容疑で逮捕され、大きな波紋が広がっている。

裾野市が公表した資料によれば、保育士が園児の両足を持って逆さにして宙づりにする、カッターを見せて脅す、頭をたたく、寝かしつけた園児に「ご臨終です」と何度も発言するなど、15行為にわたる不適切な行為を行っていた。

園長が保育士に土下座をして通報を妨げたことまで発覚し、裾野市長は同月5日、園長を犯人隠蔽の疑いで刑事告発した。問題が起こっていることを知りながら市長に報告しなかった市職員幹部は、懲戒処分された。

虐待や暴行事件とまではいかないが、筆者の新刊『年収443万円』でも、保育運営会社の本部社員だった男性が「残念な経営者が、残念な保育環境を作っている」と明かしている。

元社員によれば、社長が優先するのは、次々に保育園を出して規模拡大すること。社長と取り巻きの役員、社長のお気に入りの園長だけが高収入で、保育士は低賃金。保育士の処遇改善について物申した幹部は社長の造反者と見なされ、左遷されて賃金カットという扱いを受けた。現場の改善を本社に訴える園長も冷遇されていた。

やがて園長らは、「会社に何も求めない」と割り切るようになっていったという。園長にも保育士にも、「サラリーマン保育士になって、スケジュールだけこなせばいい」という意識が蔓延し、同男性は「保育現場を見たら、質の低さにがっかりしますよ」と嘆いた。

この延長線上に、保育事故や虐待、暴行があるのだろう。