河野も茂木も0点だ
中村が仕えた二人の総理のうち、安倍はもうこの世にいない。残る菅の再登板こそ、二階がこれから果たそうとしている「最後の大仕事」だ。
「帯に短し、襷に……」
岸田、河野太郎、高市早苗、野田聖子が壇上に並んだ'21年9月の総裁選。ある側近は、二階がボソボソと口を動かしたのを聞き逃さなかった。
「二階さんは世間で『総理候補だ』と言われている政治家のことは、誰一人として評価していない。茂木(敏充幹事長)も、菅さんが目をかける河野も、まして麻生さんが自分の後継に立てようとしている鈴木俊一(財務大臣)も、二階さん基準では全員0点」(二階と近い自民党ベテラン議員)
「嫌われる」のと「恐れられる」のはまったく違う。河野や茂木は、それすら心得ていない。だから60になっても70になっても、いつまで経っても人が集まらんのだ―。

「その点、『菅総理』であればどの派閥にとってもアレルギーがない。岸田下ろしの党内合意が形成されれば、即座に二階派43人と(二階側近の森山裕が率いる)森山派7人は菅グループに合流する用意ができている。
安倍派は最終的に、萩生田(光一政調会長)、西村(康稔経産大臣)が菅支持でまとめるだろう。跳ねっ返りになりそうだった世耕も今回、二階さんに降った。岸田・麻生・茂木は、束になっても二階・菅に敵わない」(同前)
国会議員の史上最高齢在職記録は、「憲政の神様」尾崎行雄の94歳。といっても最後の10年は、病気がちで半引退状態だった。だが二階は衰えるどころか、総理も総理候補も食らい尽くして、ますます力をみなぎらせている。
「俺は国会で死ぬんだ」
そんな二階の言葉は現実になりそうである。ただし、その日が来るのは10年後、いや20年後になるかもしれない。
(文中敬称略)
「週刊現代」2022年12月10・17日号より