自分がなんとなくモヤモヤしていたことを言語化してもらうと、「そうそう、思ってたこと、それなんだよ!」と思わず膝を叩きたくなる。作家や文筆家の「言葉の力」は時に人に気づきを与えるし、スッキリさせてくれもする。
コラムニストのジェーン・スーさんはまさに「言語化の魔術師」ともいえるのではないか。『貴様、いつまで女子でいるつもりだ問題』『私がオバサンになったよ』『きれいになりたい気がしてきた』等々、そうそう!と赤ベコのようにブンブン首を振りたくなる書籍を多く生み出している。

そんなジェーン・スーさんが新たな「赤ベコ本」を上梓した。それが『おつかれ、今日の私。』(マガジンハウス)。本書から、特別抜粋掲載でお届けする第1回は「私ばっかり頑張ってる」とへとへとになっている人に贈る、ドキッともさせる1編「一度、ぜんぶ止めてみたらいいのよ」。ジェーン・スーさんが綴った提言とは。

 

一度、ぜんぶ止めてみたらいいのよ

「こんなに頑張っているのに、誰からも感謝されない」 
「仕方なくやっているのに、迷惑そうな顔すらされる」
 「私がいないと大変なことになるのに、わかってくれない」

そう思うことが少なくないなら、忙しなく動く心と目と手と足を、一度ぜんぶ止めてみたらいい。テーブルの端から水の入ったコップが落ちそうになっていても、走ってキャッチしに行くのをやめるのだ。たとえコップがガシャーンと落ちて床が水浸し になっても、「あらぁ~」という顔をして動かない。後始末にも行かない。そういう、手を出さない胆力を育てる。 

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「そんなことを言ったって、あとから大変になるのは私なのだから無理!」
本当にそうだろうか? 育児や介護は、確かに命にかかわることもあるから手を抜けないだろう。十二分に公共の福祉を利用してほしいところではある。

しかし、あなたがてんてこ舞いになっているのは、それ以外に覆いかぶさってくるマルチタスクのせいではなかろうか。たとえば、大人相手の家事なら?  料理を作らない、食べ終わったあと食器を洗わない、シンクまで下げもしないような家族なら、そのまま翌朝まで食器を放っておけばいい。翌日の朝ごはんも作らなくていい。眉を顰められたら、「なんか疲れちゃった」と言って肩をすくめてスルーしよう。