日本人が見落としているW杯の「深刻な闇」…カタールで起こっていた「衝撃の事態」

何があったのか?

世界中から集まった精鋭たちが、国の威信を背負って闘っている。晴れの舞台を建設したのは、劣悪な労働環境に身を置く外国人たちだった。彼らはどのように酷使され、命を落としていったのか。

司法解剖さえされない

「今大会で選手たちがプレーするスタジアムは、現地に暮らす外国人労働者の奴隷的な働きによって作られています。日本では『政治に絡めたりせずにサッカーだけ楽しめばいいじゃないか』という雰囲気が蔓延していますが、これは深刻な人権問題なんです」(ジャーナリストの安田純平氏)

現在、カタールで開催されているサッカーワールドカップに日本中が注目している。初戦で日本代表が優勝候補と目されたドイツ代表を2対1で下し、12月2日(日本時間)に強豪スペイン代表にも勝利して1次リーグを1位で通過すると、その盛り上がりはさらに大きなものとなった。

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しかし、こうした熱狂の裏で起こっている「大罪」についても考えておきたい。

昨年2月、英紙『ガーディアン』は、カタールでのワールドカップ開催が決定した'10年から'20年の間に、約6500人の移民労働者が死亡したという衝撃的な事実を報道した。この数字はインド、バングラデシュ、ネパールなど南アジア5ヵ国からカタールへ渡った労働者のうち、現地で亡くなった人数をまとめたものだ。こうした犠牲の多くは、想像を絶する過酷な労働によって引き起こされたという。

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