カタールW杯のウラで、「現代の奴隷労働」が横行している「ヤバすぎる背景」

カタールの深刻な労働事情

世界中から集まった精鋭たちが、国の威信を背負って闘っている。晴れの舞台を建設したのは、劣悪な労働環境に身を置く外国人たちだった。彼らはどのように酷使され、命を落としていったのか。

前編記事『日本人が見落としているW杯の「深刻な闇」…カタールで起こっていた「衝撃の事態」』では、カタールワールドカップの裏で、過酷な労働により6500人もの労働者の命が失われたという事実について紹介した。本記事では、そのような悲劇が起こってしまった背景について詳しく見ていく。

現代の奴隷労働

この劣悪な労働環境の根底には、カタールの急激な経済成長がある。イスラム圏研究者の佐々木良昭氏が解説する。

「カタールは、イギリスから'71年に独立した新興国です。'90年代に本格的に天然ガスの生産と販売が軌道に乗り、急激に近代化を遂げた。その間、社会のインフラ整備や産業の発展を、ほぼ全て外国人に任せてきました。現在も総人口の9割が外国人で、カタール人は1割だけという状況です」

Photo by gettyimages
 

カタール国民は一人当たりのGDPが約6万2000ドル(日本は3万9000ドル)で、所得税なし、医療費、電気代、電話代が無料と手厚く守られている。首都・ドーハに煌びやかに輝く高層ビルも、最新鋭の設備を惜しみなく搭載したスタジアムも、この裕福なカタール国民が建設を担ったわけではない。

「あるフランスの研究者が、『カタール人はビデオゲームのような感覚で国を作っている』と話していました。実作業は外国人に任せきりで、自分の好きな場所に好きな建物を作れるのが当たり前だからです」(カタールでの在住経験を持つ立命館アジア太平洋大学教授の吉川卓郎氏)

関連記事