人間のもっとも身近にありながら、そのスゴさが意識される機会がなかなかない「皮膚」という臓器。
『人体最強の臓器 皮膚のふしぎ』では、一般にはほとんど知られていない「皮膚の持つ機能」について、京都大学医学部教授の椛島健治先生がわかりやすく解説しています。
以下では、皮膚と密接に関係する「髪の毛」についての知見をご紹介。「なぜ年を取ると白髪が増えるのか」について椛島先生が解説してくれます(本記事は『人体最強の臓器 皮膚のふしぎ』を抜粋、編集したものです)。
そもそも髪は白く生まれてくる
若い人を左に、年齢を重ねた人を右に配置した写真。左右の写真で明らかに違うのが髪の色です。写真左側の女性は、鮮やかなブロンドなのに対して、右側の女性の髪は輝きのない白髪になっています。
私たち日本人の多くは黒髪ですが、歳をとると同様に白髪になってしまいます。なぜ歳をとると、人の髪の毛は白くなってしまうのでしょうか。

意外に思われるかもしれませんが、毛は、最初は白髪として生まれます。無色の繊維を染料につけて染色するように、私たちの髪の毛も、もともとは無色だったところに、メラニンを加えることで、ブロンドや黒髪、茶髪、赤毛などが生まれます。
毛髪の色は、メラニンの配合の違いによって決まります。メラニンには、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類があります。ユーメラニンの蓄積量によって、髪の色は黒か茶になります。同様に、フェオメラニンはその蓄積量によって赤かブロンドかが決まります。この2つのメラニン色素の配合量の違いによって、髪の毛の色が決まってくるわけです。