2022.12.22
私たちはなぜここまで「ハイスペ人材競争」に駆り立てられているのか? 偉大な思想家が出した「一つの答え」
思想家として活躍し、世界中に大きな影響を及ぼしたミシェル・フーコー。
彼はある時期以降、「競争」や「新自由主義」について深く考えたことで知られる。じつはその思想は、現代日本の状況について考えるさいにも役に立つ。
『今を生きる思想 ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方』を上梓した天理大学准教授の箱田徹氏が解説する(本記事は、同書の一部を編集したものです)。
「競争」が真理になる
市場での競争は放置しても決してひとりでには成立しない。完全競争が可能になるような経済秩序を実現するためには「社会の構造に、また深いところに」介入しなければならない。競争という一種の「秩序」を成立させ、経済成長を実現させてこそ、社会の自由は確保される。
新自由主義型の統治性はこのように考える。自由は元から自然にあって尊重されるべきものではなく、介入によって生産されるべきものなのである。このとき競争という概念はいわば形而上学的な「真理」とされるが、それでもやはり「自由」は尊重される。
新自由主義型統治はこのようにして「競争」を統治性の核に据える。このとき、