2022.12.22

「牛乳を増産」から一転、「牛乳を搾るな、牛を殺せ」へ…! 岸田政権の無責任な‟手のひら返し“で「全国の酪農家が連鎖倒産」の大ピンチ…!

ちょうど1年ほど前、牛乳余りが生じ、生乳大量廃棄のピンチが報じられたことは記憶に新しい。その理由として、コロナ禍での外出自粛によって牛乳需要が低下したせいだと説明されていたが、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏によると、むしろ「政府の失敗」による「人災」の側面が大きいという。

あれから1年が経ち、コロナの流行は落ち着きをみせているようにもみえるが、一方で国産牛乳をめぐる問題は、収束するどころかむしろ拡大しており、「国内酪農家の連鎖倒産」の危機が迫っていると鈴木氏は指摘。鈴木宣弘氏の著書『世界で最初に飢えるのは日本』より一部を抜粋してお届けする。

「牛乳余り問題」実は政府による人災だった…!

近年、日本の酪農業では、都府県における生産減少が続く一方、北海道での増産によって、生乳の供給をなんとか維持してきた。
牛乳余りどころか、ずっと不足が続いていたのである。

その状況下で、農水省は「畜産クラスター事業」を推進し、生産性の向上と供給量の増加を図る。
「畜産クラスター事業」とは、酪農・畜産の生産基盤強化や、収益力の向上のために、補助金を交付する事業のことだ。
機械や設備の導入時の本体価額(税抜)の2分の1が補助金として援助され、必要経費等を引いても実質40%オフとなる。

この制度によって、酪農家の借金は増えたが、生乳生産量は伸びた。
だが、コロナ禍が発生し、自粛などによって生乳需要が減少、乳業メーカーの乳製品在庫が積み上がってしまった。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大