どんなに愛している相手であっても、命がある限り別れはある。
ではその別れのショックから、私たちはどんなふうに前に進めばいいのだろう。
漫画家で小説家の折原みとさんは、2022年11月に12年ちかくともにくらしたパートナーの愛犬「こりき」を天国に見送ったのだという。
折原さんは2010年、13年連れ添った愛犬「リキ丸」を看取っている。愛する者との二度目の別れを、どのように受け止めたのだろうか。
「異変」を感じたのは11月上旬のこと
大切な存在を失くした時、心を支えてくれるものは、何なのだろうか?
つい先日、私の「家族」であり「パートナー」でもあった愛犬、「こりき」を見送った。
11才と9ヵ月。大型犬のゴールデンレトリバーとしては、立派なシニア。
それでも、よく散歩中に「まだ若いんですか?」と聞かれるくらい元気だったから、別れは、もう少し先のことだと思っていた。

秋の紅葉の時期、私は毎年、八ケ岳で過ごす。今年も、紅葉ピークの10月下旬から11月上旬まで、10日間ほどを山で過ごしていた。
信じられないほど鮮やかな、赤や黄色の紅葉の中を、毎日こりきと歩いた。

こりきは、いつものように農場でボールを追いかけて走り、家に遊びにきた友人たちに甘えてゴキゲンだった。
一緒に清里の滝に行ったり、ゴンドラで山に登って雲海を見たり、元気いっぱいで過ごしていた。


「異変」を感じたのは、八ケ岳から帰ってきて、2~3日たってからだ。
いつもは、朝早くから散歩の催促で鳴き始めるこりきが、私が散歩に誘うまでおとなしくしている。2階から階段を下りるのも、少しためらうそぶりを見せる。
嫌な予感がした。