嫌な予感が的中

いつもとかわらず食欲旺盛で食い意地は張っているし、元気もある。
それでも、かすかな「異変」が気になって動物病院に連れて行ったところ、嫌な予感は的中した。
軽い貧血が出ているし、身体のどこかに炎症があることを示す、CPR値が高いことがわかったのだ。
貧血は、ギリギリ自覚症状が出るくらいの数値。少し前まで、こりき自身も特に不調は感じていなかったのだろう。

亡くなる1ヵ月前くらいに秋谷の海を散歩 写真提供/折原みと
 

数日後の超音波検査で、脾臓に3センチ程の腫瘤ができていることがわかった。悪性リンパ腫の可能性が高いという。

「ああ、来ちゃったな」と思った。

ゴールデンレトリバーは、がんの発症率が特に高い犬種だ。10才を超えれば、いつ何があってもおかしくないと、いつも頭のどこかで意識していた。
それでも、並はずれて元気なこりきのことだから、13~14才までは大丈夫ではないかと、楽観してもいたのだ。

先生の見たてでは、このまま何もしなければ、余命は3ヵ月ほど

しかし、悪性リンパ腫には、抗ガン剤が比較的効きやすく、半年間の抗がん剤治療で寛解すれば、あと数年は生きられるかもしれないという。

犬の抗ガン剤は、副作用が軽いものを使うため、案外ケロリとしている子もいると聞き、私は治療に希望を持った。
当のこりきは、ステロイド投薬のおかげですっかり元気だし、いつにも増して食欲モリモリ!
これなら、何とか乗り切れるかもしれない。

でも……。

亡くなる前日。モリモリおやつを食べていた 写真提供/折原みと