「悔いなく愛すること」
実をいうと、先代リキ丸を見送った時もそれを恐れていたのだが、意外にも、私はペットロスにはならなかった。

しかし、今回はどうだろう?
これほど溺愛しているこりきがいなくなったら、今度こそヤバイんじゃないだろうか……?

こりきの病気がわかった頃、私は本棚から一冊の本を取り出した。
2012年に出版した自身のエッセイ本、『おひとりさま、犬をかう。』だ。
この本には、先代リキ丸との生活や、リキを見送った時のことが書かれている。
10年前の私は、「ペットロスにならない方法」として、こう記していた。
「悔いなく愛すること」……と。
自分自身の書いた言葉に励まされるというのもおめでたい話だが、この言葉は、こりきとの最後の時間と別れの中で、確かに私を支えてくれていたように思う。